2009年8月3日月曜日

マニフェストについて

 総選挙を控えて各党マニフェストの品定めがマスコミを賑わしている。しかしメディアの大騒ぎに対して市民はいたって冷めている。

マニフェストとは「政権公約」と訳されて従来の「選挙公約」と区別され、具体的な施策、実施期限、数値目標を明示して事後検証性を担保し、有権者と候補者との間の委任関係を明確化したものとされている。2003年の公職選挙法改正によって選挙期間中の配布が認められるようになったが未だ日も浅く、事後検証によってマニフェストを信用できるものとして共有した経験がないこともあり疑心暗鬼のところがある。それよりもっと根本的なところで市民が政党を信用していないのは前回の小泉郵政選挙の結果の今日の体たらくにある。自民党296議席、与党327議席という圧倒的多数(総議席数480)を与えたのは『郵政民営化・構造改革・規制緩和』という選挙公約に有権者が日本の変革の兆しを感じたからであった。ところが今や郵政民営化は自身のアリバイ(当時の総務相であったが民営化には反対だった)を主張して総理が見直しを示唆する一方構造改革も規制緩和も中途半端なかたちで後退している現状では総理総裁が変われば政党の約束も簡単に反古にされてしまうのだと市民が認識してしまうのも当然だろう。

更に市民がマニフェストを信頼していないのは財源問題にある。与野党共にマニフェストの実現可能性の拠り所として『財源の有無と信頼性』をもちだしてくるが、そもそも我国予算(約89兆円)の38%(約33兆円)は借金(国債)で賄われている。一般歳出約52兆円(58%)の6割以上が借金で賄われているということは予算の6割に財源がないということに等しい。にもかかわらず財源がないからバラマキだ、選挙目当てだと相手党のマニフェストを非難するのは目くそ鼻くそを笑うの類に近い。一見手当てが妥当に見えても今や我国予算の6割以上が国債に依存した『マヤカシの財源』であることを市民・有権者は知っている。

国の運営がこれまでの延長線上にある方法ではどうにもならないことを本能的に気づいている国民が選択をどう下すか。選挙の結果が興味深い。

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