2009年11月1日日曜日

表現の自由

 秋競馬真っ盛りである。菊花賞、天皇賞秋から暮の有馬記念へとつづくこの数ヶ月は競馬ファンにとって堪らない。馬券が的中すればもっと良いのだがほとんどの人は多分マイナスに違いない。そんなファンが頼りにする『競馬新聞』だが的中率は意外と低い。昔大川慶次郎という競馬評論家が1日の全レース的中という偉業を成し遂げたことがあったが、このような僥倖は空前絶後のことだ。

 シンザンがダービーに勝った年に競馬を始めた私の競馬暦はそろそろ半世紀になるがまったくの『馬券下手』で勝った記憶があまり無い。血統から動物学的アプローチまで相当深く『競馬道』を極めた積りだが結論的に必勝法が「騎手で買う」では、莫大な投資は全く生かされていないに等しい。しかし競馬を構成している多種多様な要素の中で公表されている最も確率の高い情報は「騎手の勝率」だからそのランク上位騎手を中心に推理を組み立てることはあながち間違いとはいえない。その証拠に人気上位の馬に勝率の低い騎手が騎乗しているレースでベテラン騎手の騎乗馬を絡ませて高配ゲットというケースは決して少なくない。

 いずれにしても競馬の予想は当てにならないのが常識だが経済評論家の『景気見通し』が同様の評価しかないのは困ったことだ。これについては予想する側に言い訳があるに違いない。そもそも経済は多様な要素が影響しあって結果に繋がるものだからその前提を抜きにして「来年の景気は?」と問われても答えに100%責任は持てないという言い分には同情の余地がある。まぁ競馬の予想も景気の見通しにも全幅の信頼を置いている人は余り居ないから詮索はこれ位で止めておこう。

 冗談で済まないのは格付け会社の「格付け」だ。今回の金融危機は複雑な金融工学を駆使して作られた金融商品の破綻が原因になったが、投資家は「格付け」を頼りに商品を購入していた。その投資家の損害賠償請求に対して「表現の自由」を盾に格付け会社が責任回避しているというのだから呆れてしまう。投資後進国の我国が「貯蓄から投資へ」を実現するにはまだまだ未整備な分野が多い。

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