2010年1月12日火曜日

ちょっと得した話

 大阪環状線のとある駅近くの中華料理店を贔屓にしている。中国人のオーナーの流儀なのだろう、オーダーが通ってから料理を始めるので配膳までに時間を要するのがイラチの大阪人にはつらいところだが、本格中華の味がそれを補って余りあるので結構繁盛している。お昼の定食が740円というのもちょっと高めだがオーナーは主張を曲げないでいた。

 
昨年10月に一軒挟んだ隣に今評判の中華チェーン店が出店してきたことから状況が変わってきた。麺類を含めた一品料理のどれかを半額以下で、更にもう一品も値下げした月変わりのサービスメニューを提供するようになったのだ(生ビール水曜日中ジョッキ200円もついている)。女将さんは相当心配していたのでどんな手を打ち出してくるか楽しみにしていたのだが随分思い切ったものだ。さてチェーン店が開店してみると意外にも客足は衰えるどころか以前より5割方客数が増え、昼食時は一、二階満席になってしまうことも少なくない繁盛振りになった。この勢いは3ヶ月立った今も変わりはない。考えてみれば広くはないがビジネス街で乗降客もソコソコあるこの駅周辺に中華料理店(ラーメン店ではなく)が一軒しかなかった事がおかしいので、そのため競争がなかったが、そこへライバル店ができて変化が起った。その結果客にも店にも利益があったのだから競争はやっぱり必要なのだ。

 
20年間日本経済はほとんど成長していない(1992年と2009年の名目GDPは共に約480兆円である)。実質GDP466兆円から526.7兆円になっているからざっと13%も物価が下がったことになる。この長期のデフレは需要不足の状態が20年間解消されずにきたことを意味し簡単に言えば多くの産業で過剰供給体制が放置されたまま新陳代謝が進められてこなかった結果といえる。成長期を終えた産業から新規産業への資源の移転が円滑に行われなかった原因は規制緩和中途半端で民間の活力が十分に生かされなかった影響が最も大きい。要するに規制によって自由な競争が阻害されてきたせいである。

 500
円タクシーがなくなるという、一体誰が得をするのだろう。

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