2024年8月12日月曜日

株と愛国心

  先日久しぶりに市内へ出かけました。猛暑の中外国人旅行者で溢れていましたが半年前と比べてアジア系が増えているようです。特に台湾(中国?)と韓国の人が目立ち彼らの余裕に比べて日本人のやつれた様子が印象に残っています。もちろん外国旅行しようというのですから豊かな層の人たちが来ているのに対して日常生活の日本人とは差があっても仕方ないのですが、それにしても彼らから感じる豊かさにカチンときてしまいました。全体のレベルがどの国も上がっていますから以前のようにオシャレ度に歴然と差があってどんなに着飾ってもどこかダサイ感じがあったのがそれが無くなっていて、その上に豊かさが加わっているのですから普段着の日本人が疲れて見えるのは仕方ないのでしょうか。実際1人当GDPでみれば台湾も韓国もわが国を抜いているのですが(わずか千ドル程度ですが)納得いかないというかナメラレテいるというか、決して差別しているわけではないのですが口惜しいのです。やっぱりこれは「円安」のせいです、2年も実質賃金が前年比マイナスを続けているのですから我が国国民は疲弊して当然なのです。2年前ということは安倍さんが暗殺された2022年7月の翌月8月から今年6月までの23ヶ月になります、これはどういうことなんでしょうか。

 安倍さんが2度目の総理に就任した2013年度の円は100円前後でした。それが2022年には138円になったのですから約40円、安倍さんは円安にしたことになります。一強を誇った安倍さんが亡くなって「重し」が無くなったせいかこの年の年末にかけて物価高が勢いを増しています。ということは企業の円安耐久力がぎりぎりの限界に近づいていたのが安倍さんの死で一挙に噴き出したのかもしれません。そもそも2021年央の日経の論調では、2015年に金融当局が「けん制発言」を出した『下限容認ライン125円』がこのままいくと下限が上がる可能性があるのではないかと危惧しています。それから1年でその下限を突破して2022年末には138円にもなってしまっているのですから企業が辛抱できなくなっても仕方なかったのです。その後も――菅さんも岸田さんも円安を放置したままでした。そしてついに160円台を突破するに及んだのです。これは異常です。

 

 ところがこれだけ国民を(そして輸出関連の大企業を除いた多くの企業も)苦しめている「円安」を「株式市場」は『歓迎』なのです。輸出関連企業の好業績を背景に円安が進めば進むほど株高は亢進しついに7月11日史上最高値の「4万2222円02銭」をつけたのです。専門家は今年中には4万6千円も現実味があるなどとアドバルーンを上げるかと思えばマスコミも「新NISA」をはやし立て特集を組む始末です。

 ところが8月5日ブラックマンデーを上回る4400円を超える大暴落し株価は一挙に31,458円に落ち込んでしまったのです。狼狽売りの反動でその後持ち直しましたが9日現在の株価は3万5025円です。

 暴落の原因は何か。(1)アメリカ経済減速への懸念(2)円高ドル安の加速(3)中東情勢の緊迫化(4)投機筋の仕掛け…などを専門家は指摘しますがどうなのでしょうか。

 

 最近私が驚いてるのは「おまかせ投資」というものです。新NISAがらみでいくつもの同種サイトが「おまかせ」を売っていますが「値下がりの責任」は「おまかせ」さんがとってくれるのでしょうか。そんなことはありえないでしょう。結局「まかせた」本人の責任になるのが現実です。「株のことなんて分からないもの」という反論があるかもしれませんがそれなら「株には手を出さない」のが常識です。政府か銀行・株屋さんかSNSかは知りませんが他人の尻馬にのって株などに手を出すものではないのです。

 

 株の乱高下を目にしてつくづくお金のことは『信頼』が全てだと再認識しました。私が株について唯一信頼しているのは「バフェット指数」というものです。有名な投資家のバフェット氏は「時価総額/GDP」が[1]を超えたら株式市場は「割高」になっていると考えるのです。[857/591=1.45]これが8月9日現在のわが国の指数です。大体日本のGDPは600兆円くらい、株式市場の時価総額はこのところの平均は900兆円、とすると[1.5]がわが国のバフェット指数です。ちなみにアメリアの7月の指数は[1.87]になっています。許容できる上限をどうみるかですが[1.25~1.3]くらいは許容範囲としても1.5も1.87も「バブル」です。この傾向はここ数年続いていますがどこからも「バブル」という指摘・批判はありませんでした。

 

 繰り返しますが経済は「信頼」が要諦です。現状で「信頼」できるかどうかの視点は次の4点です。

 (1)アメリカ(中国)は信用できるか(2)株式市場は信用できるか(3)岸田さんは信用できるか(4)植田・日銀総裁は信用できるか

 (4)を除いて他は信用できません。植田さんも来年いっぱいの彼の日銀の運営の仕方を見て判断します。

 アメリカは戦後の一時期を除いて信用していません。よくいわれますが、モンロー主義で「自国第一主義」があの国の基本姿勢です(それでいえばわが国の今の政治家位でしょう、自国よりも自国の国民よりもアメリカのご機嫌を第一にしているのは)。わが国は1968年から2010年まで世界第2位の経済大国でした、今の中国のように世界に影響を与える存在たりえたのです。それを「アメリカの脅し」にひるんで「失われた30年」に追い込まれたのです。根性なしの政治家と官僚のせいです。

 中国はこれからのあの国の、低成長に追い込まれたあの国の振る舞いを見てから判断しましょう。

 国民を苦しませている円安を歓迎している限り株式市場は信用できません。国民の繁栄と株式市場の成長が軌を一にするまで株式市場は一般国民の「相棒」ではないでしょう。

 岸田さん(アベノミクスを継承する自民党政権)は円安と「企業と富裕層優遇」の姿勢を変えない限り信用できません。

 植田さんは最悪の黒田前日銀総裁の後始末を任されただけに「敵」はあっちにもこっちにもいて、なかなか「正常化」の「正道」を推し進めることはできないでしょうが、ちょっと株が乱高下したら狼狽する「プチ富裕層」など相手にせずに「125円」を目指して粛々と「円高」に誘導してください。国債の償却は、リーマンショックやらなんやらでこれまで何十兆円も「支援」して「倒産」を「Too Big to fail」と「救ってきた」銀行に「利子徳政令」でも発して「国の再建」に協力させるくらいの『剛腕』をふるって『正常化』に突き進んで下さい。

 

 外人観光客がやたらに増えたら「円安」で「ナメられているなぁ」と感じる感覚――これを「愛国心」と呼ぶのなら私は「愛国者」でいたいと思います。

 

 

0 件のコメント:

コメントを投稿