2010年2月1日月曜日

阪急河原町店閉店

 阪急河原町店が閉店になるという。西武有楽町店の閉店も先に報じられていたから百貨店凋落の傾向は止まる気配がない。これについては専門家の分析が多く伝えられているので私如き素人のしゃしゃり出る幕はないのだが若干私見を述べてみたい。

 先日「めざましテレビ」で小倉智明が『百貨店らしさが無くなったことが原因じゃないのか』と言っていた。彼の『百貨店らしさ』がどういうことか分からないが私もそう思う。百貨店とは文字通り『百貨』が取り揃えられた小売店であるにもかかわらずその強みが殆んど生かされていない。ファッションを考えてみよう。今『フアストファッション』が人気だがこれは何も『安価』なだけが原因ではない。二万円程度で全身を着飾れるから受入れられているのだと思う。彼女たちは洋服を買っているのではなく『変身』しているのだ。そのためには上着だけでなくパンツも帽子も靴も、できれば下着もメイクも替えたい。それを叶えてくれるからフアストファッションが支持を得ているのだと考えると、百貨店の不振は当然に思えてくる。単品、それもメーカー単位で張り合って、ひとつ店にありながら総合力が発揮されていないのだから、そうなればその道の専門で最高のスタッフを揃えたブランド店に負けるのは当然だ。しかし『変身』に最も適した小売店形式は『百貨店』ではないのか。顧客の望みを専門家の立場からプロデュースし自店にある商品をコーディネートして『変身』させてあげる。価格的にフアストファッションとは比較にならないかも知れないがそうした客層を相手にすればよい。今までのターゲットとそう懸け離れていないところに顧客はいる。

 ハードからソフト、ソリューションビジネスへ、『もの』から『こと』へという趨勢が成熟した産業社会だ。IBMがパソコン生産から脱却したのを典型とすれば、水処理技術や装置の生産で世界一でありながら水ビジネスでフランスなどの欧米企業に遅れをとっている日本企業はこの世界の潮流をまだ十分に理解していない。百貨店でいえば商品はハードだ。それと顧客を結び付けていかにソリューションビジネスとして成立させるか。そこに百貨店再生の解がある。

 定年退職した亭主が長年連れ添った妻を思いっ切りイメージチェインジさせてあげたい、これからの人生を共に歩むためのスタートに当たって、少々豪華に。こんな男のロマンを叶えてくれるところが百貨店ではないのか。



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