2011年2月21日月曜日

キュアとケアの前に

 「税と社会保障の一体改革」が推し進められようとしているなかで「年金支給開始年齢の早期引き上げ」について考えてみたい。
 政府案以外にもいろいろな改革案が提案されているが大まかにいって「65歳の支給開始年齢を70歳に引上げる」というところが中期的な収斂値となっており、その際「健康で体力があっても仕事を離れるという生活様式を改めて、年齢相応の仕事と貢献度に応じた報酬体系」を準備する必要を条件にしている。ここで問題にしたいのは『健康で体力がある』ということについて、それぞれの提案者がどれほど理解しているかということである。65歳と70歳でどんな違いがあるか分かっているかということを問うてみたい。

 成熟した社会では高齢者の罹患する疾病は生活習慣病が主になっている。そして治療の主役は医師や看護師ではなく患者自身であり、医療機関による治療以外に規則正しい生活、適正な食生活、適度な運動が求められる、当然のことながら喫煙は論外である。このうち規則正しい生活と適正な食生活は医療機関などで指導を受けることができるが「適度の運動」については「しっとりと汗が出る位の有酸素運動を30分~90分、週に2、3回」という目安が教えられる程度で具体的なメニューを提示されることは全くない。
 ジョギング、ウォーキング、自転車、水泳、ジムトレーニングなど自分なりに取組んではいるがそれがどの程度の効果を上げているかはほとんど計測不能である。ウォーキングを毎朝3、4時間やって膝を傷めてしまった友人もいる。ひとは簡単に「軽い運動を」というがこれほど難しいこともない。メタボリックシンドロームについて特定健診制度が設けられ判定基準や特定保健指導が義務付けられるようになったのは成人病予防にとって一大進歩であると思う(詳細についての是非は別にして)が、これと同程度の「肉体健康度の判定と対応運動メニュー」をスポーツ医学を併設している医療機関で指導を受けられるようにできないものか。

 65歳から70歳までの経年は肉体的にみて『本格的な老い』への過渡期にありこの時期の対応次第で以後の健康に重大な影響がでてくる。支給開始年齢の引上げを単なる財政再建のための数合わせでなく『キュアとケアの前のサポート期間』と捉える視点をもって取組んでほしい。

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