2011年7月18日月曜日

愛国心

 「『社長100人アンケート』で、約4割の経営者が円高の是正や税制の見直しが進まなければ3年以内に海外に生産拠点等を移さざるを得ないと回答した。(略)電力不足問題が長期化する懸念から、国内生産が維持できなくなるとの危機感が広がっている。(7.15日経より)」
「大阪商工会議所の佐藤茂雄会頭は15日の定例記者会見で、政府が原子力発電所のストレステストを実施する方針を示したことについて、『(海江田万里)経産相や自治体の原発再稼動への努力を無にするもの。再稼動が遅れると経済活動、市民生活に壊滅的な打撃を与える』と強く非難。政府に早期再稼動にむけた努力を求めた。(7.16日経より)」

 3月11日の東日本大震災と福島第1原発事故から4ヶ月経った今、電力会社を初めとして経済界、政治家や関連官僚組織の恫喝にも似た原発再稼動への動きが加速している。被災地の復旧復興が未だほとんど手付かずな状況にあり、毎日のように原発事故の被害が拡大しているにもかかわらず、である。そして上記の社長アンケートだ。企業のレゾンデートル(存在理由)が「雇用」にあることは論を俟たない。アメリカも同様であるが金融危機からの脱却のために政府の莫大な財政支援を得て企業経営は回復、軌道に乗ってきているが雇用は一向に改善せず失業率は高止まりしたままである。これでは国民の血税を使った意味がない。
加えて、よりにもよって国内空洞化を平然と公言する大企業経営者に『経営哲学』はあるのだろうか。安倍内閣当時『愛国心』論義が盛んに行われ政治家の多くと共に財界首脳もその必要性を声高に叫んでいたが、彼らの『愛国心』とは何と底の浅い信念の不確かなものなのか。彼らが好んでつかう『国難』の今こそ、あらゆる試練を乗り越えて国家国民のために日本国の再設計を成し遂げる気概が求められているのではないのか。それこそ本物の『愛国心』ではないのか。

 閑話休題。孔子に「後世、畏るべし」という辞がある(『論語』子罕)。若者は先生(大人)を超える可能性を持っているから畏敬の目で見るべきだ、という意味だが、こんな大人と子供(若者)の社会であって欲しい。
 「母さん知らぬ/草の子を、/なん千万の/草の子を、/土はひとりで/育てます。∥草があおあお/茂ったら、/土はかくれて/しまふのに。(金子みすヾ「土と草」)」

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