2011年11月14日月曜日

EUと日本と

EUが揺れている。ギリシャのソブリンリスクをきっかけにイタリアや南欧諸国に金融不安が波及し早期に事態が終息しなければEUの屋台骨を揺るがし兼ねない危機的状況になっている。マスコミ報道も過熱気味だが日本への影響は迂回的なものとして―ギリシャ債を保有している金融機関の破綻や金融収縮による輸出への悪影響というかたちで伝えているが、本当にそれだけだろうか。

 EU加盟国は27ヶ国あるがドイツやフランスのようにGDPが大きく生産性の高い国もあればギリシャを初めとした弱小国も含まれている。ギリシャは観光業以外にはオリーブ油などの農産物や繊維製品、造船業が主たる産業で名目GDPは3054億ドルとドイツ3兆2864億ドルの10分の1以下に過ぎない。産業構造が異なるまま生産性の格差を放置して通貨を共通化すれば強大国が圧倒的に有利になるのは明らかで均衡ある域内繁栄のためには制度の再設計が必要である。
 翻って我国をみると一極集中の東京が人口の10%以上、国内総生産の18%弱を占める強大さを誇る一方で人口100万人を割り込む県が鳥取県ほか9県、生産がGDP(2008年度)の1%に満たない県が愛媛県以下21県もある(これら21県のGDPの合計は全体の15%に満たない)。このような歪な国土経営はEUと全く同じである。
 EUも日本も国別・都道府県別の生産性を同じくするような産業構造に再設計することが必要であり、生産性の格差解消と財政の共通化を棚上げにして均衡ある発展は望めない。

 日本の一部の地方では役所かJA農協へ就職するのがステータスというところが少なくない。雇用を吸収する産業が少ないからいきおいそうなってしまう。ギリシャも公務員比率が高く労働者の1/4が公務員だといわれているが同じ構図であろう。
 
 イギリスの経済誌「エコノミスト」が「世界の住みやすい都市ランキング2011年版」を発表し大阪が11位、東京が18位にランクされた。又法政大学大学院が「47都道府県幸せ度ランキング2011」を発表し福井、富山、石川と北陸3県が1、2、3位を独占した。評価尺度によってランクは異なってくるから一概にこの結果を鵜呑みにできないが価値観の多様化した今、経済合理性だけで国や地域の評価を行う愚かさを改めないと21世紀を設計できないことをこれらのランキングは物語っている。

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