2012年1月16日月曜日

原発とメガバンク

「東電追加融資、4月にも実施―値上げ・原発再開が条件」という記事が10日の日本経済新聞に掲載されていた。内容の概略は以下の通り。
 ▼政府は福島第1原発の廃炉などの費用に充てるため、1兆円規模の公的資金を東電に資金注入した上で、運転資金として民間金融機関から1兆円規模を調達する計画を示した。▼主要金融機関は追加融資を4月にも実施する方向で調整に入る。融資の前提は東電の財務基盤の安定で、電力値上げや原子力発電所の再稼動が欠かせない。▼東電と賠償機構は2年後をメドに停止中の柏崎刈羽原発を再稼動させる方針を主要金融機関に示した。▼再稼動できるかは政府の判断に依存するだけに、主要金融機関は再稼動に向けて政府に働きかけを強める方針。▼主要金融機関が追加融資するには、既存の東電向け融資を「正常債権」に査定する必要がある。不良債権に査定することになる債権放棄や金利減免などの金融支援は実施しない方針。

 この記事の問題点は第1に東電と賠償機構が2年後をメドに停止中の柏崎刈羽原発を再稼動させる方針を主要金融機関に示したことであり値上げを前提とした融資条件にも疑問がある。更に東電向け融資を「正常債権」と査定するというメガバンクの考え方は奇異であり不良債権に査定することになる債権放棄や金利減免などの金融支援は実施しないとう方針は強欲であり傲慢である。

 値上げに関しては未だ政府認可は降りておらず総括原価方式の不都合や発送売電分離による合理化など根本的な電力事業の再構築に関しても何一つ解決を見ていない。にもかかわらずそれを前提条件にして4月の追加融資を検討するなど一般常識としてありえない。
 東電向けの既存融資を「正常債権」と見なし、不良債権に落とさないために債権放棄、金利減免には応じないというメガバンクの考え方は身勝手な自己矛盾である。
看過できないのは東電と賠償機構が2年後をメドに柏崎刈羽原発の再稼動をメガバンクに示したことであり再稼動を政府に働きかけるメガバンクの姿勢は国民の意志を全く無視している。

 メガバンクの論理は債権保全が全てであり、そのためには産業や国民生活に重大な影響を与える電力料金値上げも安全性の合理的な保証が担保されていない原発再稼動さえも当然であるとする、国民の犠牲を省みないメガバンクの姿勢には憤りさえ感じる。

 メガバンクよ驕る勿れ。

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