2012年5月21日月曜日

スカイツリー狂想曲

22日に開業を控えるスカイツリーをめぐる商戦が加熱している。マスコミ各社も特集を組んでムードをいやがうえにもヒートアップさせ、展望台の予約客数が100万人を突破して年間約1700億円の経済効果が見込まれるとはやしたてる。しかし一方で「これで又お客さんが減ってしまう」と心配している人も決して少なくないはずだがそうした向きへの配慮はみえない。ほんの数日前まで「東北復興のために」と東北観光を振興しようと盛んに旗振りをしていたはずのマスコミは『スカイツリー狂想曲』によって東北観光が大きなダメージを受けるに違いないことを全く無視している。
 どこまで『東京一極集中』すればよいのか!!

 我国の余暇市場はこの約30年で40兆円から80兆円近い成長を遂げている(以下資料は「レジャー白書」による)。この間GDPはほとんど500兆円近辺に張り付いたままだからその比率は16%を超える巨大産業に成長したことになる。TDL(東京ディズニーランド)の開業したのは昭和58年(1983年)4月15日、TDS(東京ディズニーシー)は平成13年(2001年)に開業しているがこの二つの属する「遊園地・レジャーランド」の売り上げをみると1984年の3600億円から6500億円近くに成長しており「国内観光・行楽」に占める比率も7%弱から10%近くまで高まっている。遊園地・レジャーランドにおけるTDL・TDSの位置は入場者数が1000万人から2700万人に増えているから1/3からほぼ半分に近い状態になっていると見込まれる。ここでも『東京一極集中』が進行している。この上「スカイツリー」で東京に観光客が集中するようになれば、これはもう「東京対その他地方」と言っていい異常な集中度といえる。1700億円というスカイツリーの経済効果の大きさが遊園地・レジャーランドの売上高6500億円に比してみれば明らかであろう。
 勿論TDLが『テーマパーク』という新たな観光分野を創出したことは事実である。しかしそれを考慮しても「その他地域」の観光需要を侵食した影響は甚大でありそれは修学旅行需要の変化を見ても明らかである。

 今国会では「衆議院の一票の格差」是正が論議されている。しかしこの問題の本質は「違憲になるほどの歪な国土の経営」にあるということを政治家もマスコミも強く認識すべきである。

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