2012年6月11日月曜日

グローバル化とデフレ

経済の目的は有限なる資源の最適利用による国民の経済的厚生の最大化である、と考えるならば、同量の資源を使って優れた品質の商品を最も多く造れる企業が優秀な企業であり、同量の資源で最も安く造れる企業が市場競争に勝つことになる。
 
「有限な資源」に着目すると「グローバル化」とは資源を利用できるプレイヤーが限りなく増加する現象である、といえる。考えてみればほんの10数年前までG8という僅か8ヶ国が優先的に世界の資源を利用していたのであり、それが今世紀になってG20の20ヶ国にプレイヤーが増えたに過ぎない。今後ますますプレイヤーは増え続けることは明らかであり、市場規模の観点から人口1000万人規模の国をプレイヤーの有資格国と考えるならば80ヶ国(2012年度WHO資料)までグローバル化は進展していく可能性がある。又、経済成長が「資本ストック、投下労働力、技術進歩」の結果であるとするなら、安価な労働力を保有する「遅れてプレイヤーになる国々」の市場優位性はこれから相当長い期間保たれるに違いない。昨今BRICsなどの新興国の景気減速が伝えられているが当然の結果であり、今後繰り返し「市場優位のプレイヤー」の入れ替えが行われることであろう。
 グローバル化を別の面から考えると「世界に偏在する貧困の平準化の過程」と捉えることが出来る。「安価な労働力」とは「貧困な国民」の別称に他ならず、グローバル化は「先に進む国の相対的な低賃金化」と引き換えに「遅れてきた国々の貧困の克服」を促進する。従って先進国のデフレ化は避け難い一面があり、G8諸国を襲っている深刻な低成長とデフレ化は「グローバル化の歴史的必然」といえる。

 我国のデフレには特殊事情が別にある。
 第一は2011年以来続いているゼロ金利が齎した300兆円を超える「逸失利子所得」による消費需要の喪失である。年額25兆円は12.5%の消費税に相当することを考えれば今ここで消費税増税することが消費に与える負の影響の大きさが理解できるであろう。
第二は高齢化による労働力人口減少の招いた勤労所得の減少効果である。高齢の労働者は相対的に所得が多く若年労働者との入れ替えだけでも国全体の所得は減少するが、そのうえに雇用者数の減少や非正規雇用の増加などが加わって全体の勤労所得の減少は相当なレベルに達している。
 
 可処分所得を如何にして増やすか、国の取るべき施策の方向性は明らかである。

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