2012年9月10日月曜日

インフォームドコンセント

  弟が腫瘍を手術するのでインフォームドコンセント(以下IC)に立ち会ってくれといってきた。S医科大付属病院K外科のカンファレンスルームで診療科長が行ってくれたICはホワイトボードを使って図解を交えながら解り易く懇切丁寧なもので素人の私も納得し、ナーバスになっていた弟もすっか
り安堵してチェックシートに「よくわかった」と迷わず記入していた。
 翌日手術に付き添うため朝10時過ぎに病院へ行くと、興奮して中々寝付けなかったという弟は少し不安気であったがストレッチャーが来ると観念したのか黙って手術室に消えていった。

 病室に戻ってフト小卓を見るとクリアファイルがあった。開けるとIC関係の書類のまとめのようである。先ず「手術・観血的処置等に関する説明書(様式1-1)」を読んでみる。病名・症状、手術を選択する理由等々つぶさに説明してあり最後に「当診療科における成績について」書いてあった。それによると年間10例に満たない稀な症例であり死亡退院、在院死亡はほとんどないから「…でありますから上林様の場合には生命の危険はほぼないものと考えられます」と結んであった。昨日の診療科長のICもありさらに安心感が増した。
 「えっ!」ちょっと待て、上林様って誰のことだ?一瞬にして全てが吹っ飛んだ。カルテが間違っているのではないか、何か手違いでもないのか、次々に不安が募る。ナースステーションへ急いだ。事情を訴えると病棟長が飛んできた。PCを開いて数分すると少し安心したようにも見える風で説明を始めた。この説明書はカルテや診療関係の書類とは連動しておらず、本症例の場合のICに限定してアウトプットする書式で例文に記載があった氏名がそのまま残っていたものです。概略そのような説明を受けた。手術中でもありそれ以上その場に留まることはせず病室に戻った。
 IC書類をじっくり読んでみると「手術」「輸血」「麻酔」に大別されておりそれぞれに(様式1-1)から(様式1-4)で構成されている。1説明書、2ICのホワイトボードのコピー、3同意書、4ICチェックシートが標準様式だが、輸血は1と3だけ、麻酔も1と3だが「文書管理番号(様式1-1の符号)」が付けられていなかった。

 文書管理は総務部など管理(間接)部門の担当が普通であるがグローバル化の中、間接部門はアウトソ-シング(外注)されることが多い。ハード重視ソフト軽視が一般的な我が国の現状であるがこうした風潮がシャープでありソニーの惨状を招いた一因ではないのか。

 予定通り3時過ぎに病室に帰ってきた弟は涙ながらに「有難うございました」と執刀医、助手以下全員女性の手術チームに感謝していた。
この病院もハードは素晴らしいこと間違いないようだ。

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