2016年3月21日月曜日

「保育園落ちた 日本死ね!!」は名文である

 「保育園落ちた 日本死ね!!」というブログが日本を揺るがしている。
 「保育園落ちた 日本死ね!!!何なんだよ日本/一億総活躍社会じゃねーのかよ。/日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ 活躍出来ねーじゃねーか。/子供を産んで子育てして社会に出て働いて税金納めてやるって言ってるのに日本は何が不満なんだ?/何が少子化だよクソ。/子供産んだはいいけど希望通りに保育園に預けるのほぼ無理だからって言ってて子供産むやつなんかいねーよ。/不倫してもいいし賄賂受け取るのもどうでもいいから保育園増やせよ。/オリンピックで何百億円無駄に使ってんだよ。エンブレムとかどうでもいいから保育園作れよ。有名なデザイナーに払う金あるなら保育園作れよ。/どうすんだよ会社やめなくちゃならねーだろ。/ふざけんな日本/保育園増やせないなら児童手当20万にしろよ。/保育園も増やせないし児童手当も数千円しか払えないけど少子化なんとかしたいんだよねーってそんなムシのいい話あるかよボケ/国が子供産ませないでどうすんだよ。/金があれば子供産むってやつがゴマンといるんだから取り敢えず金出すか子供にかかる費用全てを無償しろよ。/不倫したり賄賂受け取ったりウチワ作ってるやつ見繕って国会議員を半分位クビにすりゃ財源作れるだろ。/まじいい加減にしろ日本
 敢えて内容には触れない。日本語として「汚い」「不愉快だ」「女性らしくない」という感情的な文章批判について弁護したい。
 
 汚い、不愉快だ、という批判の標的は「死ね!」という表現だろう。多分SNSなどでブログ仲間の特定の個人を大勢で攻撃し仲間ハズレにして自殺や登校拒否に追い込んでいることを背景に「死ね!」という言葉を否定したいのだろうが、「死ね!」は小説や演劇にいくらでも出てくるし決して不自然ではなくむしろ感動さえ感じることが多い。それは「死ね!」という表現がギリギリの極限に表れる言葉として読者や観客に強力に伝わっているからに違いない。ブログのお母さんも「死ね!」という以外に言葉が見つからないほど『追いつめられて』いたのだ。
 このブログを読んで不愉快と感じるのは「攻撃されている当事者」だけだろう。多くの人は、ほとんどのお母さんは、『共感』して快哉を叫んでいるに違いない。「一億総活躍社会」を標榜しながら「子育て支援」は口先だけの「選挙目当ての対策」だということを、国民皆が感づいている。「少子化なんとかしたいんだよねーって、そんなムシのいい話あるかよ、ボケ!」「国が子ども産ませないでどうすんだよ!」と怒(いか)っている国中のお母さん、お父さんたちが「よく言った!」と心の底から『共感』しているから、このブログが政治家や官僚を周章狼狽させ弥縫策的な「子育て支援策」を打ち出さざるを得なくしたのだ。
 「すぐれた文章」というものが『ひとを感動させ』『ひとを動かす』文章であるとしたらこのブログほど『名文』はないではないか!
 選挙目当てのお調子者で迎合主義者の地方議員が「『日本死ねなどと書き込む不心得者や、そんな便所の落書きをおだてる愚かなマスコミ、便所の落書きにいちいち振り回される愚かな政治家があとをたちません
などとブログに書いて炎上しているらしいが当然であろう。
 
 しかし問題は「待機児童問題」の本質が未だに理解されていないことだ。厚労省の発表によれば平成26年10月1日現在の「保育所入所待機児童数は、43,184人で前年度比934人減少した」となっているが実際の児童数(厚労省の待機児童のカウント基準ができるだけ少なくなるような都合のいい基準になっているから)はこの四倍とも五倍ともみられている。しかしそれだけでは不十分でこの問題を根本的に解決するためには5歳以下の子どもたち630万人を潜在的な保育需要者と認識するところからスタートする必要がある。この630万人の子育てを「待機児童解消」などという間違った矮小化された政策目標でなく、「日本国」として『子育ての社会化』を実現するのだという姿勢で取組んではじめて「真の子育て支援」が達成できる。
 現在保育園は児童福祉法による厚生労働省児童家庭局が管轄する「児童福祉施設」として存在している。しかしこうした枠組みでは630万人という大量の需要を満たす供給を効率的に産み出す仕組みとしては不適切で、民間の活力を取り込んで公・民で取組まなければ実現できない課題である。しかしこれまで多くの分野で規制を取り払って民間移転を図ってきたが必ずしもすべてが成功したとはいえない。まして児童保育は教育という短期の利益志向では成果を遂げることの困難な分野である。義務教育に匹敵する予算を投入するくらいの抜本的な『保育行政再興』に取組んでほしい。
最新の教育研究は、最も収益率が高い教育投資は小学校入学以前の幼児教育だと結論づけている。
 

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