2017年8月14日月曜日

球場は楽し!

 久し振りにプロ野球を観た。8月9日水曜日の巨人阪神戦の東京ドームは巨人の主催ゲームにもかかわらず超満員のスタンドの半分はタイガースカラーの黄色で溢れていた。バックスクリーンを挟んでライト側はジャイアンツカラーのオレンジで満員なのは当然だがそれに負けない阪神ファンの大声援が左半分を埋め尽くしている。ローテーションの谷間に当たる巨人のピッチャーはファンの私でも選手名鑑をみないと分からないような選手が起用されたから主導権は阪神が握った。畠、田原、中川の継投で7回までしのぐ巨人に対して阪神は1回3回7回に各1点を上げるに留まる歯がゆい攻撃。その間巨人は4回まで無安打、5回亀井がそれまで押えられていた阪神青柳から鋭いライトフライを打ちこれが呼び水になって2安打が出て6回に期待を抱かせた。案の定6回は先頭の陽岱鋼とマギーの連打の後阿部の犠牲フライで1点を入れると7回は阪神救援の岩崎を攻めてマギーの二塁打で2点追加、3点目が本塁でクロスプレーになって審判宣告はアウト。しかし由伸監督抗議のビデオ判定で逆転のセーフになると球場は一気に巨人ファンの気勢が盛り上がる。8回表巨人救援の西村がピシャリと抑えるといよいよ巨人の勝利ムードが球場に充満する。8回阪神5人目の救援投手は高橋。
 現場で球場全体の熱気のうねりとともにゲームの進行を肌で感じていると試合のアヤが直観できてくる。ローテーション投手でない3人の継投で7回まで1対3でしのいでくると「上出来!これは何とかなる」と実現感を伴った期待が湧く。その予感通り7回3点を上げて逆転に成功して西村が8回表をキッチリ押えたその裏の攻撃は「絶対に三者凡退だけはくってはいけない」という「ツキを逃がさない」ための警戒感がフツフツと芽ばえる。村田一邪飛、亀井三振。7番橋本到、絶対凡退はイカン!四球でもデッドボールでもいい、阪神のエラーでもいいから出塁しなければ…。ところが橋本は最悪のキャッチャーゴロ。そして9回巨人の抑えはお決まりのカミネロ。最近二度もストッパーに失敗している、悪い予感。
 結局この試合全打席出塁の福留が必死の三塁打で同点の後ロジャースの犠牲フライで阪神が逆転。福留ひとりにヤラレた試合だった。
 しかし現場で観る試合とテレビ観戦のゲームは全くの別物だということを実感した。
 
 翌日は神田の銘店まつやで蕎麦を食して八重洲、丸の内、銀座、六本木を巡ったが圧倒的な『東京一極集中』に暗鬱な気分に襲われる。2011年3.11東日本大震災の復興もまだ道半ば、2016年熊本地震の被害はその後の台風来襲などもあってほとんど復旧が進んでいない。「地方創生」は掛け声ばかりで地方創生大臣はころころと代わって腰を据えた取り組みの姿勢は微塵も見えない。あまつさえ「2020年五輪」で東京は施設建設のために全国の建設機能を収奪して建設労働者は東京に集中している。それでもまだ五輪納期を達成することの不安から建設業を「働き方改革」の「残業時間上限規制」の対象外にして過剰残業を放置した結果、労災認定になる異常な時間外労働が「自殺者」をだしてしまうという最悪の結果を招いている。
 ここまでして「東京」に富と人口を集中しないと「グローバル競争」に勝てないのか!勝たないと日本国民は貧しく、不幸になってしまうのか?東京圏の人口(2012年)は3千7百万人で総人口の約30%、ニューヨークは2千40万人(6.6%)パリ1千70万人(17%)ロンドン850万人(13.8%)ドイツ・エッセン730万人(8.8%)。東京だけが先進国では突出しており異常であることが分かる。
 確かにかって世界を支配したオランダもスペインもイタリアも、フランスでさえも今やGDP(国内総生産)競争では中国の四分の一以下に過ぎない程度の国に成り下がっているが、それでそれぞれの国は不幸になっているだろうか。
 
 徳川時代、我国は300近い藩に分割され完全な「地方分権」のもと隈なく開発され各藩はそれなりの発展を遂げた。地方を車で旅行したときこんな辺鄙なところにも人が住んでいる(いた)ことに驚きを覚えるが、それは徳川幕府の力による「地方分権」のせいでもありそのおかげで「棚田」という『美風景』も生み出された。明治政府が中央集権に舵を切り、戦後敗戦からの復興のために急激な「中央集権」を推進しなければならなかったことが「東京集中」を余儀なくし、国民も納得した。地方から都会へ、東京への「大移動」は国力充実のために不可欠な政策として実施された。
 しかし、今、『東京一極集中』をこれ以上放置しておいていいのだろうか。グローバル経済という「経済」の視点からだけで富と人口の集中を当然として『国民』は容認すべきなのだろうか?テレビなどのメディアを通じて見る感覚、データの数字として認識する格差と、現場の肌感覚から伝わる『格差』はまったく別物で『異様』としか表現できない。
 
 丸の内を闊歩するサラリーマンはおしゃれでカッコいい。オフィスレディはみなスマートで綺麗だ。なにより行き交う人々が豊かそうだ。でも東京の会社に勤める娘はなにも感じていない。
 
 現場でしか感じられないもの、野球は球場が楽しい。東京一極集中は異様だ。
 

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