2020年7月13日月曜日

まずは六割社会から

 東京の感染者数が224人になったといって大騒ぎをしていますが当然のことだと思います、いまのままなら今後ますます増加する可能性も否定できないでしょう。7月10日からプロ野球が観客数上限5000人で有観客試合を開始しますがこれも非常に危険なカケだと思います。

 今現在はっきりしていることは、ワクチンと特効薬が開発されてゆきわたるまでは新型コロナ感染症は終息しない、ということと、抗体検査の結果が東京で0.10%、大阪0.17%宮城0.03%だったということです。ということは東京の人口は約1千3百万人ですから1万3千人しか感染していない計算になり、日本の人口を1億3千万人とすれば全国の感染者数は13万人くらいにしか達していないということです。感染率が6割ほどに達すれば自然終息するらしいですが日本の場合そこまで感染が拡大することはないでしょうし、又させてはいけませんから自然終息の可能性は極めて低く、やっぱりワクチンが開発されて全国民にゆきわたるのを待つほかないわけで、ということは5年ほどのスパンで新型コロナ感染症に対しなければならないことになります。それなのに、なにゆえをもって流行は小康状態になったから「経済活動を平常に戻します」と宣言できるのでしょうか。「ウィズ・コロナの新しい生活様式」を守ることを国民に要請する以外に何もしないで、どうして感染の拡大を抑えられると考えられるのでしょうか、感染の責任を「接待を伴う夜のまち」に押しつけて。

 今回のコロナは「接触感染」と「飛沫感染」が感染経路だということですから、緊急事態宣言が解除されてからの東京や大阪の出勤ラッシュを見れば、いくら三密(密閉、密集、密接)を避けソーシャルディスタンスを守りマスクを着用したとしても感染は百パーセント防ぐことは不可能です。手洗いとうがいを励行してもウィルスの家庭への持ち込みを完全にシャットアウトすることはできません。家庭や職場での感染が増加しているのはそうした背景があるからで、確かに夜のまちの人たちがクラスターになっているケースは多いようですがその人たちが感染したのは通勤ラッシュかも知れないしお客が持ち込んだかもしれないのです。
 
 感染拡大を抑えるために今すぐできることは「通勤ラッシュ」の解消です。出勤時間を分散させてることです。小池さんの公約じゃないですか、まず東京都庁の役人から出勤時間を今の時間(9時か)から前後(8時と10時)に分散するべきです、職員数は16万人(うち一般行政職は1万8千人)もいるのですから効果は絶大です。都庁だけでなく東京都にある行政機関はすべて東京都に準じて出勤時間を分散させればラッシュ解消にかなり効果があるはずです。さらに主要駅別に大企業と(たとえば従業員5百人以上の)中小企業の連絡会をつくって出勤時間の調整を行うようにすれば(たとえば8時半組、9時組、9時半組に分散させるなど)ラッシュ解消の効果はさらに向上するでしょう。こんなことはやる気さえあればスグできることです。

 そもそも個人には「ウィズコロナの新しい生活様式」を押しつけておきながら何故企業にはそれを要請しないのでしょうか。何故企業活動を百パーセント全開にしようとするのでしょうか。居酒屋さんにはお酒の提供を7時まで、10時まで、12時までなどと規制しておきながら一般企業にはそれを要請しないのはなぜでしょうか。一挙に百パーセント企業活動を行おうとするから無理があるのです。まず「六割の企業活動」からスタートしてはどうでしょうか(別に五割でも七割でもいいのですが)。リモートワークやテレワークも取り入れながら三年から五年のスパンで企業活動の生産性向上を考えるべきではないでしょうか。

 もうひとつ考えてほしいことがあります。先に「営業自粛」が要請されましたがテナント業と金融業はその適用外でした。しかし物を作ったりサービスを提供するのが企業活動であるように、テナント業はテナントを貸すのが仕事であり、金融業は資金を貸して利息を稼ぐのが仕事です、それを「自粛」してもらわなくては不公平です。国(地方)の要請で「営業自粛」を求められた会社の入っているテナントの賃料は「自粛」して発生しない、そのかわりテナント会社に融資した資金の利息も発生しない――銀行の企業活動も自粛してもらう、これでこそ『公平』というものではないでしょうか。自粛中のテナント料を国が補填するというのはどう考えても不自然で公平でないように思うのですが、どうでしょうか。

 わが国は――先進国と呼ばれる欧米や日本などの多くの国は「成長至上主義」を信奉してがむしゃらに「市場競争」を展開してきました。しかし75年もの長い間「戦争」という『強制終了』がないと『格差』が極端に拡大して国民が『分断』されてしまいました。そこへ「新型コロナウィルス感染症」という『未曾有』の経験に遭遇したのです。国民の生命を守るためには「接触」を制限するのが最も効果のある対策です。「移動」も制限されます、物流も停滞するでしょう。どう考えてもこれまでと同じような経済活動を「再現」することは当分――三年~五年は不可能です。にもかかわらず成長の起爆剤としてオリンピックも万博も強行しようとしています。無理です、不可能です。移動と物流の制限を受け入れて、グローバル・サプライ・チェーンの再興は当分無理だという現実を受け入れて――そうした現実を基盤として――経済社会活動の『ダウンサイジング』を受け入れて、社会を見直すことが必要なのではないでしょうか。

 格差と分断を解消するには『公平』がキーワードです。皆が未曾有のコロナ禍を乗り越えるために少しづつ公平に我慢して『六割社会』からスタートする。そして「成長至上主義」「競争至上主義」の「新自由主義」から脱却する。それこそコロナ禍をプラスに転じる最良の方策ではないでしょうか。

 経済が危機的状況にあるのに、「株価」だけが高い、一部の富裕層だけが豊かになるような『不公平』な社会に『NO』を突きつけるべきなのです。

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