2020年9月14日月曜日

拝啓 中信 様

 拝啓、仲秋の候、貴庫益々ご清栄の段お慶び申し上げます。
 
 とはいえ、こうした定型文の虚しさをつくづくと感じる昨今の社会情勢ではありませんか。緊急避難だったはずのゼロ金利政策が曲折を経ながらもう二十年を超え、その後の財政状態を考えるとあと十年以上はこのままの状況がつづくことを覚悟せざるを得ない中でのコロナ禍は貴庫に置かれましても一方ならぬ苦境を強いられておられるにちがいありません。
 
 そんな折ではありますが本日はお願いの儀ありこの手紙を認めました。
 磁気不良によるキャッシュカード(以下CCと略す)再発行手続きの簡素化についてです。
 先日S支店でCCの磁気不良が生じ磁気再生を申し出ました。対処してくれた女性行員さんが再生不能でカード交換しなければならない、そのためには通帳、届出印鑑、身分証明書が必要だという。驚きました。いまどき磁気不良でカード交換をしなければならないなどということは他行ではありませんし、再発行に印鑑まで提出を求めるなどこのIT化時代に信じられません。
 というのも今年になってK銀行とY銀行でCCの磁気不良にあっており、とくにY銀行など二度も発生して、そのつど磁気再生されているのですが、そのさい当該のカード以外何も提出を求められることなく、即時、その場で対処してくれました。
 
 自宅に求められたものを取りに帰り引っ返して再度手続きをしました。再交付申請書に署名捺印して再発行を待って、やっと手続きが終わった行員さんが近寄って来たのでヤレヤレと思っていたら、「二三日後に郵送されてきます」という説明です。さらにそばから別の行員さんが「他店(N支店)分ですのでもう少しかかります」と言い添えました。今すぐお金がご入用なら窓口で出金いたしますがという申し出を受けましたが「もういい!結構です!」と言い捨てて店を後にしました。
 二度目に店に行ったとき、窓口で押し問答しているのを見かねて支店長がじきじき対応してくれたのですが、想像もしていなかった事態に感情的になり声を荒げたこと、年甲斐もなく恥じ入るばかりですが、それほど貴庫の対応は常識を逸した対応と私には感じられたのです。
 
 そこで本日のお願いです。磁気不良による磁気再生あるいはカード再発行に関する手続きを、当該カードの提出のみで一切の手続き書式不要、即時、再生または再発行に改変していただきたいのです。もちろん本人確認(証)が必要ならその程度は受け入れ可能範囲です。それほどCCの磁気不良は日常化していると思います。
 
 手続きの途中で支店長に忠告したのですが、これまでもCCの磁気不良の苦情を申し出る利用者は少なくなかったはずでしょうし、他にも日常的に苦情や注文はあって当たり前で、利用者(預金者)と直接接する現場はそうした苦情、意見を情報として本部に日常的に、懸隔なく、スムースに、流通するようになっていなければおかしいのではないか。そうした利用者に寄り添った細かなサービスに徹した地域密着の金融機関が中信だったはずです。なぜなら中信は「On Your Side――あなたの身近に」 なのですから。
 
 貴庫とはK区で鉄工所を営んでいたころからのおつきあいで、二十年ほど前、居宅だけはK区に残しておきたかった私に最後まで親身になって対応していただいたN支店のKさんという若い行員さんのことは今でも懐かしく覚えています。ですから中信は私にとって一番身近な存在であり、利用者のことをもっとも親身になって考えてくれる存在なのです。その中信が、社内手続き上の問題で、磁気不良という今どき日常茶飯の事故で年寄りに(私も来年は八十歳になります)暑い中を通帳と印鑑と身分証明書を取りに帰って提出させることになんら疑問を抱かないなどということは信じられないのです。
 
 コロナ禍後の景気浮揚、企業再生に地域金融機関の果たす役割は重要です。デフレ下で景気浮揚を狙った金融緩和は正しい政策でした。しかし市民と中小企業にお金が届かない今の金融システムでは機能しません。ゼロ金利で利子(利息)収入を得られなくなった市民の逸失利益は25兆円(5年ほど前の立命館大学教授の試算)にも上るといわれています。所得が上がらないうえに金融所得が無くなったのですから消費の増えるはずもありません。企業活動を活性化させるためには地方の中小企業にお金が届くようにしなければならないのに、中央政府が旗を振って政府系金融機関(かメガバンク)が窓口になっているのでは必要としている中小企業にお金が届くはずもありません。彼らには地方の中小企業に対する与信機能もありませんし、中小企業のもっている技術や地元密着の新しいサービスの目利き力がないからです。これでは何兆円の中小企業活性化資金を用意しても中小企業にお金は届きませんし(持続化給付金詐欺は政府による金融政策の制度設計の脆弱さを露呈しました)、中小企業のもっている新技術・サービスの種子が実現することもありませんから資金需要も増えず、したがって地方創生も実現しません。
 所得増大と金融所得の復活なくして消費増大はありえず、地方金融機関の活性化なくして地方創生が実現不可能なことは誰が考えても当然のことです。
 しかし現今の財政状況ではゼロ金利解除はあと十年は不可能でしょうし、そうなれば地方金融機関活性化も今までの延長線上ではなかなか困難な課題でしょう。
 
 京都中央信用金庫は庶民に最も身近な存在としていつまでも京都の中心的金融機関として存在してほしい。そのためには現場の意見が円滑に本部(理事長)に届く組織でなければならないと思います。そのきっかけとして、CCの磁気不良の磁気再生とカード交換が、即時その場でできるような手続きに改変してほしい。そう思ってお願いの手紙を認めた次第です。
 善処を、早期に、実現されることを願っています。
 
 コロナ禍のもと厳しい経営環境が続くでしょうが、どうかお体ご自愛されまして業務に精励されますように、そして貴庫がますます繁栄されますことを祈っております。
敬具
 
 
 
 
 

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