2020年9月21日月曜日

ひとのフリ見て

  ベラルーシの大統領選挙をめぐる選挙不正に対する抗議活動が拡大しています。ルカシェンコ大統領の6選が決まったのですが長年つづく独裁政権に市民の抗議は収まる気配が見えません。ここ一二年の間にロシア、インドネシア、香港と選挙不正が世界的に続発しているのは見方を変えればこれまでの政治の潮流が世界的に転換点を迎えている裏返しの証と見ることもできます。

 香港の場合は被選挙人――選挙で選ばれる側の候補者として立候補する自由がないのです、特別行政区(行政長官)が立候補の可否を決定するという選挙の公正さを侵害する制度に市民が不満を抱き抗議しているのです。  

 ロシアの場合もベラルーシの場合も選挙の自由が侵害されていて上から押しつけられた候補者にしか投票できません――投票が監視されていて指定された候補者以外に投票すれば何らかの被害を蒙る制度(見えない制度)になっているのです。  

 アメリカは選挙情報が真偽入り乱れてどれが真実でどれがフェイクか判断できないような状況に陥っていて自分の意思を正確に投票に反映させることが困難な状況になっています。こうした情報操作は相手方政党によって行われることもあればロシアや中国の介入もうかがえる状況になっています。トランプ氏が大統領に選ばれた経緯を検証するとロシアの介入による影響が大きかったことが分かります。  

 自由陣営の一翼を担う民主主義国――わが日本ではこんな選挙不正は起こりえないだろう、そう思いたいのですが9月14日に行われた自民党の総裁選挙で堂々と、しかも権力を監視するはずのメディアを巻き込んであからさまに行われたのですが、一般市民はそれを「不正選挙」と認識しているでしょうか。  まず被選挙人の自由は、議員の推薦人が最低でも20人以上を要するという規制によって、誰でもが立候補できる自由が侵害されています。これまで何度も立候補してきた石破氏はこの規制によっていつも薄氷を踏む状態で立候補してきています。  

 今回の選挙に関していえば、公示前から――公示後は相当な確からしさをもってマスコミが三人の候補者の得票数の予測を面白おかしく報道しましたから、勝馬に乗って選挙後の立場を優位にしようという欲望にかられた選挙民(議員と党員)は優勢とされる菅氏への投票に急激に傾いていきました。明らかな「情報操作」といっていいでしょう。  

 これまでの自民党の選挙では「派閥の締め付け」が強力に働いて派閥の力学で総裁が選ばれてきた、といってもあながち誤ってはいないでしょう。しかしそれは水面下で行われてきましたから、田中角栄の場合も小泉純一郎の場合も予想外の結果として国民には驚きをもって迎えられました。ところが今回の総裁選挙ではこうした派閥の力学がマスコミに常時垂れ流されて、リアルタイムに候補者の勢力図が国民の目にさらされました。だから公示の三日目には菅氏が圧倒的な得票数で選ばれるであろうことはすべての国民の知るところとなりました。これは明らかに民主主義の劣化です。国民は明らかに自民党にナメラレたのです。  

 選挙で最も大事な「投票の自由」が派閥の領袖以外にはまったく保証されていなかったのが今回の自民党総裁選であったのです。もっとも情けないのは、安倍総理が蛇蝎のごとく嫌う石破氏の地方人気を削ぐために菅氏の票を岸田氏に融通したという顛末です。ここにいたって民主主義は完全に冒涜されました。  

 先にも書きましたがわが国は民主主義国家と世界に公言してきました。しかしその民主主義国家の、政権党である自民党のトップを選ぶ総裁選において、かくも堂々と「不正選挙」が行われたのです。しかもマスコミもこれに加担するという前代未聞の形で。これほどの『恥――恥辱』があるでしょうか。ひとかどの見識を誇るコメンテーターも知識人もこの不正選挙を面白がって見るだけに収まらずなんだかんだとコメントをするのですから呆れかえって言葉もでません。  

 これほどの恥を外国はどのように報道するのでしょうか、そして論評が加えられるのでしょうか。今から恥ずかしくて身の置き場もありません。情けない限りです。  

 もうひとつ、菅新総裁の「安倍政策の継承」という公約を危ぶみます。  

 まず「コロナ対策」ですが安倍体制のままではこの冬のインフルとコロナの同時進行になった場合、まったく対応できない危険性を感じます。無症状や軽症の感染者も入院になる今の感染症分類では医療崩壊を招くこと必至でしょう。さらにPCRの検査体制も公表されている1日5万件という実施能力が実際はそうでないらしいと「ココア(接触感染アプリ)」で警報を受けた人から聞いています。その人は深夜突然の警報で濃厚接触を知らされたのですが、翌日センターに電話すると、無症状なので普通に行動してよいと言われ、それでもPCR検査をしたいというと翌日保健所から連絡があり検査キットを5日後にお送りします、検査結果はキット返送後3日して通知しますが土日祝日がはさまる場合はその後届きます、という返事だったといいます。ということは無症状で「新しい生活スタイル」で生活するのですから濃厚接触する場合もないとはいえないことになり、感染させる可能性はゼロではありません。またPCR検査は唾液型なら30分ほどで結果が出ると公表されているのに、最低でもアラームから11日後、場合によっては14日かかることになります。これではPCR検査の意味がありませんし、アラームを受けた本人は結果が出る2週間近い間不安を抱えたまま過ごさねばなりません。これでインフル、コロナの同時進行に対処できるとは到底思えません。医療用のマスクや防護服、検査試薬の生産体制と備蓄は進行しているのでしょうか。すべて「安倍体制」の継続では不安なのです。抜本的に体制強化してくれなくては困るのです。  

 デフレ脱却も成長力回復も未達成です。雇用増も実体は非正規ばかりで生活の安定には程遠く、賃金も一向に上がっていません。格差は開くばかりで差別も減る気配がありません。東京一極集中は加速して地方創生は掛け声倒れで地方の疲弊は加速しています。すべての課題は安倍体制では解決しなかったのです。  

 安倍政策は検証されて新たな方向に転換しなければ日本は善くならないのです。貧しくて不健康で楽しくない子どもたちが増えるばかりなのです。もちろん大人も不幸な人が多いままです。  

 安倍体制は継続してもらっては困るのです。  

 菅さん、分かってください。  

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