2021年2月8日月曜日

コロナ再考

  先日ニュースショーのMCが「今日は家に帰って独りで『黙食』です」と宣っていたのですがおかしくないですか。また別の日にはどこかの住職が「朝の勤行をマスクでやると途中で息苦しくなって大変です。高齢のご住職は気を失うほど苦しいといっていらっしゃいます」と話しているのを見ましたがこれにも疑問を感じました。

 コロナ禍が一年経って、情報が溢れかえってどれを信じていいのか混乱するばかりで「コロナの真実」はいまだに把握できないでいますから不安は募るばかりです。

 

 先にあげた例のどこがおかしいかというと私はコロナをこう考えているからです。

 感染は感染者からしかしない、まずこれが基本中の基本です。では何が媒介して感染するかといえば「感染者の飛沫」が最大の感染源です。それがどのように感染者から第三者に罹(うつ)るかといえば、飛沫が直接粘膜に付着するか、飛沫の生きているウィルスの着いた物に触れてそれを自分の粘膜に移してしまう。こうしたメカニズムを正しいと思うから、飛沫を飛散させないためにマスクをするし、手や顔に付着したウィルスを除去するために手洗い、洗顔、ウガイをするのです。注意するのは、ウィルスが付着した場所によって二三時間で死滅することもあれば七八時間から二日も生きている場合もあるということです。粘膜は口や喉にとどまりません、眼も耳も粘膜です。マスクをしていても感染を完全に防せぐことはできないと認識すべきなのです。

 もしこうしたコロナウィルスに関する認識が正しいとするならば、先のMCは、家に帰って手洗い、洗顔、ウガイをキチンとやったなら、誰もいないのに――飛沫を飛ばされる(飛ばす)他人もいないのにどうして「黙食」する必要があるのか理解できません。住職も広い本堂で、昨夜から何時間も経った無人の空間で一人で読経をするのにどうしてマスクする必要があるのか理由が分からないのです。

 結局、これをしてはいけません、こうすると感染を防げますよ、という情報があっても何故そうなのかについての理由の説明がほとんど明らかにされないから、これもあれも、次から次へと情報が積み重なってガンジガラメになって身動きできない状態に置き去りにされてしまっているのです。

 

 以上のような認識に基づくと第三波は明らかに「東京の人たち(以下東京人)のGOTOトラベル」が原因と考えてまちがいないと思います。それも主として「東京人同士の罹(うつ)し合い」が原因なのではないでしょうか。

 そのメカニズムはこうです。マスクの飛沫透過防止率は呼気70%、吸気40%です。したがってマスクをしているからといって飛沫が飛散していないわけではないのです。ですからマスクをしていても咳やクシャミをするときに手を当てる必要はあるわけで平気な顔で他人に向けて咳をするのは厳禁です。また食事をするとき「咀嚼」は飛沫を飛散させますから大口を開いて食べると飛沫は拡散していることになります。お酒が入って大声でしゃべりながら食事をすればまちがいなく大量に飛散してしまっているのです。

 旅行するとき、旅行をする人同士は仲のいい関係にありますから親しく連れだって歩くでしょうし食事をするときも二メートルも三メートルも離れることは考えられません。旅館やホテルの食事と談笑は短時間で終わるはずもありません、四時間五時間と継続しますから飛沫の蓄積は少なくないのです。ちなみにCOCOA(ココア)――濃厚接触した可能性を知らせるアプリは「感染者と1メートル以内、15分以上の接触のあった場合」濃厚接触者と判定していますから旅行者はまちがいなくこの範疇に入っています。

 こんな状態で旅行がつづくのですからもし「感染者」が旅行仲間にいれば感染しないはずがありません。

 GOTO解禁時のPCR検査陽性率は5%を超えていましたから旅行へ行こうかと考える無症状やごく軽症の感染者は2~2.5%程度を想定するのが適正なのではないでしょうか。実効再生産数は1.1を上回っていましたから感染は増加する状況にありました。GOTOトラベルの利用者数は11月15日までで5260万人泊と発表されています。東京の人口は約1300万人、東京圏の人口は約3500万人以上になります。12月末までの東京圏の利用者数は500万人と見積もるのは多すぎるでしょうか。暫定的に500万人と想定するとGOTO利用者の中に5~10万人近い感染者が混じっていたと仮定できるのです。(人口比から考えれば東京圏で2000万人以上の利用があったと考えてもおかしくありません

 この数字の「ほんとうらしさ」がどの程度かは軽々に判断できませんがGOTOを利用した東京人のかなに少なからぬ感染者がいたかもしれないと考えることは決して誤っているとは言えません。むしろ「いた」と考える方が正しい想定です。

 

 GOTOトラベルを利用した東京人同士が旅行中に「(うつ)し合った」という仮定は相当な「確からしさ」をもって許容されるべきです。彼らが旅行から帰って「家庭内感染」をひき起こしそれが更に域内感染をもたらした。12月下旬以降の急激な東京圏の感染者数の増加の重大な原因の一つとしてGOTOトラベルを想定することの蓋然性は相当高いのではないでしょうか。

 もし為政者や行政にその気があれば――GOTOと新型コロナ感染の間の相関関係を真剣に検討する意欲があれば、感染者にGOTOの利用を確認して統計を採れば簡単に把握できるはずです。もし私が当局者であれば必ず調査しています、賢明な官僚諸氏のことですから私などの考えること以上のことをしているはずで、公表されていませんがGOTOと感染の相関状況はまちがいなく掴んでいると思います。

 

 東京人同士だけでなく旅行した地方への感染にも影響があったであろうことは否定できないと思います。しかし数的には東京の感染拡大ほどではないでしょう。いずれにしても「GOTOトラベル」の東京圏の解禁が第三波に重大な影響があったことは否めないと思います。この責任はだれが負うのでしょうか。

 

 来週はもう一つの責任問題「補償」について考えます。

 

 

 

 

 

 

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