2024年6月17日月曜日

想滴々(24.6)

  齢をとったせいか最近世の中の動きを見ていて、未熟だなぁと思うことがよくあります。最近で言えばG7での「ロシア資産運用合意――ウクライナへ7兆円超」というのには唖然としました。ロシアの凍結資産の収益をウクライナ支援に流用するというのです。本人たちは真剣に討議している積りでしょうが、これ、紛れもなく「泥棒」でしょう。そもそも「凍結」自体どんな法的根拠に基づいているのか疑問のあるところなのに、元本には手を付けないとはいえ収益部分を勝手に奪ってそれをあろうことかロシアの当面の敵であるウクライナの「軍事支援」に宛てるというのですから正気の沙汰とは思えません。マネーロンダリング等に関する国際機関である「FATF(金融活動作業部会)」の「マネーロンダリング対策及びテロ資金対策に関する国際基準(FATF勧告)」あたりを「言い訳」にしているのでしょうが、いずれはこの戦争も終戦する――しなければならないのですから、それを見据えればこの措置が終戦への道を今以上に困難なものにするかもしれない可能性に「G7の賢人たち」は思い至らないのでしょうか。未熟の「極み」です。

 

 「政治資金規正法」に関するこのところの動きも阿呆らしくて話にもなりません。そもそも政党助成金は政党の政治活動の健全な発達を促すために、民主政治の健全な発展を実現する為に設立されたもので、一部の経済団体や企業からの莫大な政治資金の提供によって利益誘導が行われ「健全さ」が害われることを防ぐ目的で設立されたものです。勿論企業献金の禁止は大きな目標でしたから315億円という厖大な税金を計上しているのです。にもかかわら「パーティー券」という打ち出の小槌で企業献金を集金しあまつさえ収支を報告しなくてもいいという抜け穴を作って「私」し、ひょっとしたらそのうちの何割かは政治資金ではなしに「私的な収入」=「所得」にして「税務申告」を誤魔化していたかも知れないような「体制」を築いて「党勢拡大」や「選挙資金」に使われていたのです、「政治には金がかかる」という論法で。それを改めよう、政治のおカネの収支を透明化して公正な使われ方がされるように「改正」しようという試みであるにもかかわらず、「パーティー券」は5万円以下なら購入者の名前は公表しなくてもいい、政策活動費の明細は10年後に公表する、しかし一部の領収書は「黒塗り」もあり、という「改正」法を国会で定めようというのです。20万円以下だったものを5万円にしたところで10人を[2人×5]にすれば同じことになるのは小学校の子どもでも分かることで、10年後同じ顔ぶれが議員である可能性はかなり低いし、違反しても罰せられる法的根拠は無いし、黒塗りの領収書の判断基準は明かになっていないし、要するに「改正」の中身が「改正」を実現する可能性は極めてゼロに近いのです。それを当人たちは「これで政治資金の透明化公正化」は達成できるのですと、真面目な顔で言っているのですから呆れてしまいます。これを「政治ごっこ」と言わずして他に表現方法があるでしょうか。いい大人が、学歴も社会的地位も十分な輩が「これが政治というものです」と何ら恥じることもなく白日の下に晒しているのですから情けない限りです。未熟の「極み」です。

 

 東京都庁にプロジェクションマッピングをほどこして「東京の夜の観光」の目玉にしようと小池さんが本気で取り組んでいます。2023年からスタートして今年の予算は9億5千万円だそうです。見たこともありませんから批判は差し控えるべきでしょうが「経済効果18億円」という小池さんの発表をそのまま信じることはできません。一極集中で疲弊した地方は「地方創生」のために知恵とお金を絞りだして悪戦苦闘しているのですがいかんせん、お金=財政に余裕がありません。そんな地方から見たら「東京さん」は「お金持ち」なんだなぁとため息をついていることでしょう。大阪が大阪城でプロジェクションマッピングを初めて評判を得たから東京も負けてはいられない、などという幼稚な発想を小池さんがしたとは思いませんが、もしそうなら何とも、未熟の「極み」と言わざるをえません。

 

 イギリスの「不法移民(入国者)をルワンダに強制移送」法案可決の報道には驚かされました。フランスからドーバー海峡をボートで渡るなどして不法入国する人たちへの対応が財政圧迫していることからアフリカ東部のルワンダへ資金援助と引き換えに強制移送する計画で7月の総選挙を見すえた劣勢を伝えられているスナク保守党政権の目玉公約らしいというのです。何とも身勝手な政策です。

 そもそも今の「難民問題」は欧米先進国の植民地主義の「負の遺産」そのものではありませんか。産業革命のもたらした圧倒的な「生産力」と「軍事力」を暴力的に利用して後進緒国を植民地化し、資源と労働力を搾取の限りを尽くして繁栄を謳歌し、第二次世界大戦後の「民族自決」を建て前としてほとんど「無責任」に「放置」した国々が、搾取尽くされて余力がなく貧困からの脱却ができないままに「難民化」したのが現状の「難民問題」です。暴力の限りを尽くしたのが産業革命発祥の地「大英帝国」であり植民地主義の最大の責任国はイギリスであることは世界の公認するところです。「アヘン戦争」が貿易収支の赤字を解消するために麻薬のアヘンを不法に中国で流通させ巨額の利益を上げたことに怒った中国が反抗した結果であったと知ったときの驚きは、学校で習った「世界史」がいかに先進国に都合よく改ざんされたものであるかを知る入口になりました。

 世界がイギリスの「難民ルワンダ強制移送」という暴挙を完全にスルーしている現状は、未熟の「極み」です。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ(パレスチナ)強奪という世界の耳目を集めるどさくさの混乱のなかでイギリスの野蛮な振る舞いを黙って許すことは、世界の未熟の「極み」と言わねばならないでしょう。

 

 アメリカの「ダブルヘイター」――トランプは嫌だけどバイデンも駄目だ、どっちも選びたくない。80才前後の高齢者しか大統領候補のいないアメリカの政治状況は、民主主義の未熟の「極み」です。そのアメリカに追従するしかない今のわが国も未熟の「極み」以外の何ものでもありません。

 

 自由と民主主義の勢力と強権国家の対立という今の世界情勢から脱却するには「賢明さ」が求められますが現状は最悪です。日本こそ現状打破の主導者たり得ると思うのですが今の政治の未熟さではその望みは叶えられそうにありません。

  

 

 

 

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