2010年3月22日月曜日

いい店がまた無くなった

 駅前にあった馴染みの文房具屋が無くなった。いや正確に云えば商売替えしていた。かなり高齢の婆さんが店番をしていた頃は金封の表書きなども器用にしてくれて大いに助かったこともあってできるだけこの店を利用するようにしていた。数年前に婆さんが入院してから表書きは断るようになったがそれでもこの店を贔屓にしていたのは、文具の種類は多くなかったがそれぞれに高級品から廉価品まで多点数置いていたので好みの品を選ぶことができたからだ。久し振りに店に行ったのも7ミリ幅の附箋がここにしか置いていない近所の事情からだったが、無惨にも文具は片隅に追いやられ『高級バッグや時計』が所狭しと店を占領していた。
 又『いい店』が無くなってしまった。

 好きな喫茶店がある。カウンター席と椅子席に10人も入れば満席になる小じんまりした店で小粋なママさんがいる。コーヒーが抜群に旨いのだがこの店の一番は『客筋の良さ』だ。ほとんどが年金生活者層だが話が面白いし皆が居心地の好い雰囲気を醸す存在なのが嬉しい。
 昼食によく使う中華料理店は何といっても料理が旨い。給仕の女性も料理人も威勢が良く生き生きとしている。女将さんの愛想が心地良い。オーダーから配膳までの時間が少々長いがいつも満足している。
 いきつけの居酒屋はもう何年も通っている店で極めて居心地が好い。カウンターのなかの親父は二代目で先代からの付き合いの私にとっては弟のようなものだしおばちゃんは私の子どものころから知っている。先代譲りの割烹料理は筋が通っている。
 アバンザのジュンク堂が好きなのは本揃えが潤沢で店員の商品知識が豊富なところにある。客応対もそつがない。

 こうしてみると私の好きな店は、納得の商品を居心地の好い人空間のなかで購入できる店といえそうだ。もしこれを『いい店』とするならジュンク堂を除けば凡そ『今風』でない。これでは「またいい店が無くなった」と嘆き続けていくことを覚悟しておく必要がありそうだ。

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