2010年3月1日月曜日

患者の立場


 早朝の公園は結構賑わっている。一番多いのは犬の散歩をしている人たちで彼らのご苦労には頭が下がる。盆も正月もない。考えてみれば当然のことで犬に正月はないし少々の雨なら散歩したいのだろうが、人間様は二日酔いになることもあれば体調不良のときもあろうに、可愛いいのだろう。

リハビリで体操やウォーキングをする人が意外と多い。そんななかに昨年の夏頃から来ている男性がいる。彼を始めてみたとき、杖にすがって右足を持ち上げるだけで数秒、左足をひきずって引き寄せるのに数秒と痛ましい限りの努力をしていた。半年ほどして、野球場外縁周回走している私が1周する間に20メートルほど歩けるようになっていた。それから3ヶ月少々、この間に急速に能力が向上したのだろうか、私が1周する間に200メートルも歩けるようになった。「早くなりましたね」と声を掛けると「ええ、ありがとうございます」と答えた顔の何と嬉しそうな輝きを放っていたことか。それから2、3日して又であったので並んで歩きながら「本当に早くなられましたね。医師(せんせい)がびっくりしているでしょう」とはなしかけた。「いいえ、医者は何にも言いませんよ」とさびしそうにいった。

 彼によると病状は左肢麻痺で治療は理学療法によるリハビリが主となっている。数人の療法士が担当しているらしいが療法や運動の効果とその発現部位を詳しく説明してくれる人は極めて少ないという。医師はデータで治療の進行具合をみているが患者の努力や能力の回復程度についての感想や進言はほとんどないらしい。

 弱者(高齢者や患者もそうだが)は褒められることが極めて心地良い。他人に命じられて、或いは自分で目標を定めて努力した結果が、僅かでも表れたら褒めてもらいたいものだ。すると又努力する。この良循環が更に効果を高める。医師(理学療養士などの医療従事者一般も含めて)はデータと同等に患者本人からの情報収集を扱う方がよい。情報交換を医師・患者間で密にして大いに患者を褒めてあげるようにすれば治癒率は今以上にアップするだろうし患者は医師を信頼すること請け合いだ。

 今のような状況でセカンドオピニオンなど有害無益、いたずらに混乱を招くだけだと思うのは私だけだろうか。

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