2010年5月24日月曜日

自由放任と公正

 21日に対照的な経済事件が報じられた。ひとつは「NTT東日本、西日本などが発注する光ファイバーケーブルや関連部品の販売をめぐるカルテル疑惑で公正取引委員会は、住友電工、古河電工など5社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)で排除措置命令と総額160億円の課徴金納付命令を出した」というもの、もうひとつは「近畿運輸局は、初乗り運賃500円の継続を求めた大阪府などの『ワンコインタクシー』の法人3社と個人3人の申請を認めず、550~650円に値上げするよう通知した」という報道である。
更にこの日株価(東京証券取引所の日経平均株価)がギリシャ危機の動揺や円高の影響で大幅下落、1万円を割り込む9784円54銭の年初来安値をつけている。

 カルテルについてはその2日前の19日、EUの執行機関・欧州委員会から日韓を含む主要半導体メーカー10社が、半導体メモリーの価格維持を図るカルテル行為を行ったとして約370億円の制裁金支払を命じられたばかりであり、この中にはNEC、東芝、日立製作所、三菱電機、エルピーダメモリが含まれている。
 カルテル違反はこの数年間頻発しており多額の制裁金の例だけでも10指に余る。一方リーマンショックに端を発した2008年9月以降の金融危機はアメリカを中心とした投資銀行による不正な金融商品の開発・販売が原因であったし、現在進行中のギリシャ危機は南欧諸国の放漫な財政運営による将来のソブリンリスク(政府債務不履行リスク)を見越したファンド資金の逃避によるギリシャ経済の破綻によるものである。

 グローバル化が不可避な現在の世界経済は資本主義市場経済と民主主義が前提になっている。市場は自由放任だけでは正常に機能しない、公正な競争が保証されなければ暴発して甚大な制裁が下るシステムである。こんなことは小学生でも知っている基本原則であるにもかかわらずどうして国を代表する超大企業が繰り返し違反、不正をするのだろうか。そしてギリシャ危機は国までもが国民にたいして不誠実な違反を犯す事態に至っていることを表している。

 これらとは正反対なのがワンコインタクシーへの行政介入であり「規制による不公正」であることは、これによって『誰が喜んでいるか』を考えれば明らかだろう。

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