2010年7月5日月曜日

子育て支援を根付かせるために

 毎週土曜の「ウラマヨ!」(関西TV)を楽しみにしている。ブラックマヨネーズがMCをしているのが嬉しくて見ているのだがこの枠、つい最近までメッセンジャー黒田司会の別の番組が放送されていた。それが昨年暮大阪市内のバーで店長を暴行し重傷を負わせた容疑で逮捕、送検される事件があり番組は降板、今日に至っている。事実は結局誤認であった様だが事件はウヤムヤの内にマスコミから消え、タレント黒田はテレビから姿を消したままである。何とも理不尽な結末で後味が悪い。

 6月30日に施行された「改正育児・介護法」の男性の育児休暇取得に関する報道を見てこの黒田事件を思い出した。男性の取得率がわずか1.23%(女性は90.6%、08年)であることの男性陣の言い訳が「1年も休んだら会社に席が無くなってしまうんじゃないかと不安」というのが殆んどで、加えて取得率向上を促す論評が「ワークライフバランス」であったり「子育てや暮らしを大切にできる風土」の醸成であったりで、我国企業のあり方に踏み込んだ指摘が無い。黒田事件を持ち出すまでも無く企業にあっては『自分の代わりはいつでもいる』のが当然のことなのだ。

 我国はいまだにデフレから脱却できていない。その原因のひとつは極めて低い『労働生産性』にある。2008年の比較でOECD平均の0.92、1位のルクセンブルグの0.59、米国の0.69に過ぎない。選挙を控えて成長戦略がクローズアップされ、イノベーションが無いことや少子高齢化の影響による労働力不足が大きく取り沙汰されているが労働生産性の改善策をもっと真剣に考える必要がある。定期一括採用による正規社員偏重の労働力構成で、職務の標準化、定量化がされないまま『正社員』という美名の下に職務内容を不明確なまま不定量な分担で週60時間以上の長時間労働を当然としている勤務形態では生産性の向上は覚束ない。職務分析を精細に行い定量化して分担職務を明確にするなどの取組みを行い、IT化の高度化と同一労働同一賃金を実現し正規非正規の差を無くして労働力の流動化する、などを本気に取組まなければ労働生産性の向上は図れないし「育児・介護法」を根付かせることはできない。

 選挙目当ての浮ついた成長戦略でなく日本の再生を真剣に考えないと少子化は脱却できない。

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