2010年8月11日水曜日

介護がかすがい

 先日の毎日新聞にこんな投稿があった。
 「(結婚と同時に同居して3世代で暮らしてきた主婦)(前略)義母は、地蔵盆がくれば百歳になる。20年前に脳梗塞を患い、介護が必要となった。3年前、夫が退職し、それ以来2人で介護をしている。夫と少々気まずい雰囲気になっても、介護を2人でするおかげで、和らぐ。昔、子どもがかすがい、今、義母がかすがいの日々である。百歳 万歳!」(奈良市/中村絹子/主婦・58歳(7月28日毎日新聞「女の気持ち」から)

 この主婦と同じような介護をしている知人がいる。西陣の古い町家に3世代同居で仲良くしっかりと生きてきた彼女は、数年前それまでカクシャクとしていた夫の両親が殆んど時期を同じにして寝たきり状態になった。当然介護は彼女の役割となったがとても一人でできるものではない。ちょうど定年を迎えた夫は再就職せず彼女と共に両親の介護をする道を選んだ。先日久し振りに電話すると「一人ではとても無理ですが夫と一緒に介護しています。だれでも通る道ですから」と元気であったのが嬉しかった。

 菅首相が「強い経済、強い財政、強い社会保障」を標榜している。高齢化が急速に進展する我国にとって社会保障をどうするかは極めて重要な問題である。しかし今ある社会保障は余りにも画一的過ぎるのではないか、偏り過ぎるのではないか、そんな気がしてならない。

 65歳以上の親と同居している世帯は決して少なくない。特に京都のように古い町や村にその傾向があり、施設の少ないこともあって同居の親族が親の介護をしている。ところがこうしたケースへの介護保険の恩恵は意外と少ない。例えば妻が介護のために訪問看護の資格(2級ホームヘルパー等)をとっても給付対象にならない。定年になった夫が介護のために再就職を断念しなければならない場合も援助はない。こうした例が介護疲れで悲しい結果に繋がる事件が多くあったが援助の体制が整備されたという話は聞かない。

 今ある制度の多くは東京の官僚が立案した。地方の特性や想定外の状況に対応できていないケースも少なくない。社会保障に係わる制度はそれでは困るので、一定期間経過後に必ず見直しを加えるべきだと思う。

 介護がかすがいになるような社会保障であって欲しい。

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