2010年11月22日月曜日

デモクラシーとは何か

 20世紀末デモクラシーな国々は65ヶ国を数えることができたが、その内訳は、最も民主的な国が35ヶ国、かなり民主的な国が7ヶ国、ギリギリ民主的な国が23ヶ国となっており、「デモクラシーの勝利」はかなり不完全なものでしかないということになる。
 中国の人々は4000年の歴史のなかで一度も民主的政体の経験をしたことはなかった。ロシアにおいても20世紀の最後の10年になってやっと民主的な政治への移行が実現した。

 以上はR.A.ダール著「デモクラシーとは何か(中村孝文訳・岩波書店)」からの抜粋である。更に続けたい。(原文ではポリアキー型デモクラシーとなっているところを「民主主義」と置き換えている)。

 歴史が繰り返し伝えていることは、国家もその他の集団も民主的な手続きの基準に完全に合致する政府を持つことは一度もなかったということである。また、これからもありそうにない。
 二大政党制は選択肢を二つに単純化する。(略)マイノリティーの代表を否定するため全面的に公正とは言えない。
 民主主義は資本主義市場経済が支配的な国々でのみ存続してきた。そして反対に非市場経済が優勢な国では決して存続してこなかった。
 資本主義市場経済のある基本的な特徴は民主的な制度にとって好都合である。反対に非市場経済が優勢である場合には、その基本的な特徴のいくつかがデモクラシーの発展を阻害するのである。
 資本主義市場経済は不可避的に経済的不平等を生み出す。そしてそれは、政治的資源の配分の不平等をもたらす。その結果、デモクラシーに潜在的に秘められている民主主義を実現する可能性は制限されてしまうことになる。
 近代化の遅れた国々の権威主義的政府が、活発な市場経済の導入にのりだすとき、その政府は最終的に自らの破滅につながる種をまいているようなものである。
 民主的な国々で今、緊急に必要となってきていることは、市民が政治の世界に関与できるように知的能力を向上させることである。

 最後に英国政治家ウイリアム・ビットの警告を記す。「無制限の政治権力は、その権力の所有者の心を腐敗させる。」

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