2011年1月24日月曜日

いのち

 寛平ちゃんが帰ってきた。マラソンとヨットで約4万1000キロを「アースマラソン」した彼は世界で一番『地べたと話をしたひと』かもしれない。兎に角凄いの一語である。皆がそう思っているのだろう、だから21日の夜大阪城ホールで寛平さんを迎えた吉本若手タレントを写したスポーツニッポンの写真は素晴らしかった。損も得も無く唯々称賛と尊敬と愛情に満ちた眼差しで彼を見つめる若手の無垢な表情は心を柔らかく温かくしてくれた。

 TVディレクターの和田勉さんが亡くなった。食道上皮ガンと診断されたが手術や延命治療を拒否し病院や老人福祉施設で闘病生活を送っていたが14日80歳で亡くなった。

 2008年の我国の平均寿命は女性が86.05歳で世界一、男性も79.29歳で過去最高を記録した。これはいろいろな条件が整備された結果だが最も大きく貢献しているのが医療の進歩であることは論を待たない。2010年7月改正臓器移植法が施行され年齢制限の撤廃で家族の同意があれば臓器提供が可能になった影響で今後脳死判定での生体臓器移植が増加することは十分予想される。

 「寿命が延びる」という場合の寿命は今のところ「生理的生命」を言っている。しかしそれは「いのち」のほんの一面に過ぎない。生活する人としての生命もあれば社会人としての生命もある。「いのち」はそうした多面的な総合体であるはずだ。ところが今までのところ医学の進歩の齎した「生理的生命」が『暴走』している。そのための『歪み』がもう制御できないところまで来ている。超高齢社会のただ中にある我国で『不老長寿』の『完(ま)ったき享受のあり方』を合意することはこれからの世界的な高齢社会のグローバルスタンダードの先鞭となって世界の尊敬を集める「成熟社会日本」の第一歩を踏み出すことになるのは間違いない。

 昨年問題になった「年金不正受給」に象徴される高齢社会の暗部を解決して人類の究極の念願であった『不老長寿』を前向きに評価できる、成長神話を超えた「成熟社会」を実現したいと切に願う。

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