2012年4月9日月曜日

それっきり!でいいんですか

NTT西日本のCM「それっきりIT篇」が面白い。伊武雅刀扮する中小企業の社長がIT導入後セキュリティの更新やアフターケアを“それっきり!”で放置したままでいるのを井上真央に「それっきりITでいいんですか」と窘められる構成になっているのだが、このCMを見て苦笑している人も多いのではないか。「それっきりIT」は決して珍しくない現象なのだ。たとえば先日あった“J-ALERT”の誤作動などその典型だ。
 J-ALERTとは「消防庁が整備した全国瞬時警報システムの通称です。津波や地震など対処に時間的余裕のない事態が発生した場合に、通信衛星を用いて国(消防庁)から情報を送信し、市町村の同報系防災行政無線を自動起動するなどして、住民に緊急情報を瞬時に伝達する(HPより)」もので2007年から運用開始され5年に1度の定期点検が義務付けられている。
ところが5日行われた北朝鮮が予告している「人工衛星」打上げに対応した沖縄県26市町村を対象とした伝達試験で那覇市や浦添市など7つの市町村無線が起動しないトラブルが発生した。J-ALERT導入時にどのような点検が行われたのか、5年に1回の定期点検は確実に行われていたのか、多分「それっきり!」かそれに近い状態であったに違いない。

 国や行政の仕組みには「それっきり!」が極めて多く年金はその代表例であろう。社保庁の乱脈運営など点検が適切に行われていたら防げたであろうし、AIJ問題にしても投資運用業務が2006年の法改正で従来の許可制から登録制に変更されたときに投資顧問会社の定期検査を厳重に行う体制を構築しておけば今回のような事件の起こる可能性は相当低かったはずである。

 行政もそうだが企業でITや年金・健康保険関連の事故が多いのはその業務が本来の企業活動とは異なっているとして軽視されている傾向が強いからだ。メガバンクのシステム障害が多発するのも役員の中にIT業務を理解する人材が不足していることによるといっても強ち間違っていない。
年金財政が国を揺るがし年金による倒産が現実化する現在、IT活用によるイノベーションがグローバル経済下での企業存続を左右する現在、社会保障とITを国と企業の中心業務として見直す時期にきていることを知るべきである。

 郊外に造成された「巨大団地」も「それっきり!」になるのだろうか。

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