2016年1月24日日曜日

SMAPと大塚家具―厳冬雑話

 国民的アイドルSMAPの解散騒動に一応の終止符が打たれた。グループの完全存続にはまだまだ紆余曲折があろうが6月頃までにはスッキリするだろう。
 今回の騒動は昨年マスコミを賑わした「大塚家具後継者争い」と根は同じでビジネスモデルをめぐっての社内紛争であって本来なら表に出ないで社内で収拾されるはずのものが何故かマスコミの知るところになって世間を騒がせてしまった。多分当事者のどちらかがマスコミの力を味方につけて自分に都合の良い方向に事を終息させようとしたのであろう。真相は、大塚家具の場合は商品が「家具」であって「高級路線と大衆路線」のビジネスモデルのどちらを選択するかの争いだったから分かり易かったが、SMAPは「人間」が商品だから『騒動』の中身が見え難い。SMAPのメンバーにしてみれば「マネージャーが創り上げてくれた」これまでの路線と新しく「ジャニーズ事務所の打ち出す」自分たちのすがたの間で『不安と戸惑い』を感じたとしても当然である。とりわけ副社長の「SMAPは踊れない」という発言はメンバーに『不満と困惑』を与えたに違いない。決して順調に表舞台を歩んできたのではないSMAPはマネージャーと一緒に苦労しながら積み重ねてきたこれまでの『SMAP創造』の過程に『自負と誇り』を抱いていたに違いない。それを否定されかねない虞があると感じたらジャニーズ脱退を考えても不思議はない。ところが『SMAP』という商品はメディア(テレビなどのマスコミ)に露出されてはじめて商品になるという特殊な商品であるところに問題があった。タレント業界は『参入障壁』が高く閉鎖的で『透明性』の極めて低い『寡占市場』なので業界地位の低い事務所ではなかなかタレントが『売れない』という事情を抱えている。SMAPという超売れっ子のグループの力をもってすれば業界の厚い壁も打ち破れるかも知れないという期待の下で動き始めてみたもののその壁は想像以上に強固であったことが分かって『決起』は頓挫する憂き目にあってしまった。
 それにしても「権力の監視」を『任』とするマスコミがいまだにこのような前近代的で閉鎖的な業界慣行を容認している現状は極めて嘆かわしい。そういえば十年ほど前、北野誠というタレントが意味不明のまま業界から干されてマスコミから姿を消したことがあったがこれもこの業界ならではの古い体質のなせる業だったのであろう。いずれにしても「ジャニーさんに詫びを入れていない」などということがさも当然のように正当視されている「やくざ稼業」のような業界体質は一日も早く改められるべきである。
 
 古いといえば「建設業界」も同罪でいまだに「ムラ社会」を引きずった『談合』を繰り返している。しかし今回の「震災復旧工事」での舗装会社によるそれは『震災』という理不尽な自然災害に対する『共助』と『善意』を裏切っただけに罪が重い。材料費や人件費の急な高騰という事情があったにせよ許されるものではないし相変わらず業界上位者の「ムラの仕切り」による「利益のお下げ渡し」という古い構図には辟易する。復興予算に関しては岩手県のNPOが緊急雇用創出事業として委託されていた受託金約8億円を詐欺した事件や被災地以外の全国の震災対策費として流用されたり、2011~2013年度に計上された復興予算の総額約25兆円のうち9兆円が使われていなかったという会計検査院の調査報告など不明朗かつ不愉快な実態が多すぎる。それでいて復興事業そのものも被災者の支援もいまだに満足に行われていない現状に心痛むばかりである。
 談合が明らかにされた同じ時期、産廃業者による「廃棄食品の横流し」も発覚しているが、カレー・チェーン店「CoCo壱番屋」のビーフカツなどの廃棄食品を転売した事件は今後底なしの拡大を見せるに違いない。何故なら「食品ロス(売れ残りや期限切れなど)を含む廃棄食品」は壱番屋以外にもレトルト食品業界やスーパー・コンビニなど多くの業界・業者が年間500万~800万トンにも上る莫大な量を廃棄しているからだ。「産業廃棄物処理業界」も競争の激しい業界で「低料金」を最大の武器として中小零細の企業が乱立しているから『業務倫理』を徹底させるためにはそれなりの「組織化(上流から下流を含めた)」が必要だろう。抜本的な対策が早急に望まれる。
 いずれにしても「中国」を嘲う資格はもはや我々にはないのであって日本商品の「安全・安心」を信用して「爆買」をしてくれている世界の人たちに見放される日もそう遠くないであろう。
 
 突然「暖冬」が「厳寒」になって『伊達の薄着』のやせ我慢も形無しだ。ソロソロ「爺らしく」せよということか。                    
 

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