2018年10月15日月曜日

反省なしでいいのか

 勝負事には「ここは絶対に勝たねばならない」という『勝負時』がある。今年のジャイアンツの場合、8月24日からの東京ドームでの阪神戦の3ゲーム目がそれだった。2連勝してこのゲームも今村、上原とつないで7回まで8対3のワンサイドゲームで進んでいた。8回定石通り澤村につないだのだがこれが絶不調、四球押し出しやら梅野のツーランホームランなどで一挙6点を奪われて逆転されてしまった。今年の巨人は調子に乗れずなかなか5割に届かずじれったい展開が続いていたが、この試合に勝てばやっと『5割』に到達できる、そういう大事な大事な節目の試合だった。澤村の不調は早い時期に見てとれた。もう替え時だ、もう替えなければ、と言っているまにズルズルと6点を奪われ池田にスイッチしてやっとこさこの回を終えたがすでに「時遅し」だった。もしこの試合を物にしておれば今年のセリーグのペナントレースはまったく別の様相を呈していたかも知れない。
 高橋由伸監督は3位という、それも負け越しという屈辱的な戦績の責任を取って「引責辞任」を申し出た。首脳陣はこれを簡単に受け入れて後任を原元監督の復帰で取りつくろおうとしている。しかしこれは随分不可解な監督辞任であり復帰劇だ。2015年シーズン終了と共に原監督は辞任したのだが、東京ヤクルトの2位におわったとはいえ、決して責任を問われる成績ではなかった。なぜなら原巨人は2012年から3連覇を達成しておりうち一年は日本一にもなっている。その原監督がなぜ辞任したかと言えば、「球界の盟主」で「紳士たれ」を誇っていた名門巨人軍が「ギャンブル八百長騒動」で揺れに揺れていた、その収拾を避けて『頬かむり』して逃げ出したのだ、「選手ごときが!」と『君臨』していたナベツネこと「渡邉恒雄オーナー」ともども。そんなチーム事情があったから後任を引き受ける人材がなく、コーチ経験さえもない高橋由伸氏に無理矢理「火中の栗」を拾わせたのだ。初年度は広島の2位におさめたが昨年は4位、そして今年は負け越したが3位に踏み止まってCS(クライマックス・シリーズ)進出を果している。丁度選手層の新旧切り替え時期にあたったこの3年間をうまく切り抜け、今年は岡本という若手スラッガーを4番に定着させ、投手陣の整備もようやく形になってきたこの時期に、チーム事情不始末の犠牲者で『功労者』の高橋由伸氏を『追い出し』て、『戦犯』原氏を監督に復帰させるなど『もってのほか』の交替劇ではないか。また、原氏も「責任放棄」して逃げ出した醜態を『反省』することもなく「ヌケヌケ」と復帰するなど「恥を知れ!」といいたい。
 願わくば、CSで広島を倒し、日本シリーズでパリーグを倒して日本一になってほしい。そのとき、巨人の首脳陣はそれでも「原監督」を強行するだろうか?「由伸・巨人よガンバレ!」。
 
 反省しないといえば、スーパーボランティア尾畑春夫さんばかりが有名になりもてはやされている「藤本理稀君行方不明事件」の「山口県警(柳井署)」は一向に「反省の弁」を発しないのはどういう訳なのだろう?150人体制で3日間捜索を続けたが手がかりはつかめず、終局的にはため池や水路に捜索先を絞っていたというから、もう生きている可能性は少ないと判断していたことがうかがわれる。ところが尾畑さんは、捜索開始すぐの30分足らずで理稀君を発見してくれた。それも県警の捜索対象としていなかった「山側」から。
 もし尾畑さんが現れなかったら理稀君は死に至っていたかもしれない。それほど重要な「捜索方法の過誤」についてなにひとつ、反省の弁も「誤った捜索」についての「説明責任」も果されないまま、尾畑春夫さんの美談とスーパーぶりだけが世間の耳目を集めてこの事件の終息を迎えることはあってはならないことだ。にもかかわらずマスコミは尾畑さんを追っかけるばかりで山口県警を追及しないのは無責任ではないか。
 
 反省しないといえば、樋田淳也容疑者の逃走をゆるした富田林警察署も同罪だ。やすやすと逃走されたばかりか、48日間も逮捕に至らなかった責任をどう感じているのか。この事件は逃走に至った警察の管理責任ばかりでなく48日間1000人体制とも1500人体制とも云われたこの間の「捜索費用」の負担と責任も重大だ。そうであるのに、逮捕以降のマスコミは樋田容疑者の逃走経路がどうとか、その間の容疑者の振る舞いであるとか所持品の入手経路であったりと、逃走から逮捕に至る警察の「無能さ」「捜索方法の過誤」はそっちのけの枝葉末節ばかりを表面に出している。なぜなのだろう。警察サイドがこうした情報のリークで世間の非難を交わそうとしているのだろうか。いずれ総括的に大阪府警が説明責任と捜索費用の分担責任と管理責任のすべてを明らかにすべきである。
 
 最後に日本政府の反省を求めてひとつの『事件』を考えて見たい。ほとんどのマスコミはニュースレリーズ(政府発表の)を報じたばかりで追求する姿勢を示していないが事の顛末はこうだ。東京オリンピックを控えて急増している外国人観光客に合わせて、羽田空港発着の国際線を増便することを計画したがアメリカの同意を得られず難航しているというのだ。増便する新ルートは米軍横田基地が管制権を持つ空域を一時的に通過するため米国側の合意が必要とされているから、というのが理由とされている。
 横田空域(横田進入管制区)は1都8県(東京都・栃木県・群馬県・埼玉県・神奈川県・新潟県・山梨県・長野県・静岡県)にも及ぶ広大な管理区域で、この空域はアメリカ空軍の管制下となっているために民間航空機であっても当該空域を飛行する場合は米軍による航空管制を受ける必要があり、戦後からずっと日本の心臓部の飛行ルートがまったく使えない状態になっているのだ。
 こんな馬鹿な、屈辱的な政治体制が戦後70年以上もたった、世界第三位の経済大国にして、独立主権を擁しているはずの、アメリカと『対等で良好な』友好関係を保っているはずの、我が日本国に残存しているのだ。
 米軍基地の負担の多くを沖縄に押しつけて本土は知らんぷりをしていると一般的に認識されているが、とんでもないことだということが明らかになった。2割少しの負担で本土は安全と安心を米軍に守ってもらっている積もりかもしれないが、首都という日本の中心であり「顔」をアメリカに握られているというこの『屈辱』を、政府は国民に対して大っぴらにすると共に深く「反省の弁」を述べてもらいたい。
 
 米朝関係が改善され朝鮮半島の非核化が決して絵空事でなくなってきた今、わが国のことだけでなく世界の平和を構築するあらたな構想をわれわれが「創造」する時期になっていることを知らねばならない。
 
 
 
 
 

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