2020年3月16日月曜日

ではどうすればいいのか?

 新型コロナウィルス騒動に関してどうしても納得できないことがある。クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号のオペレーション会社の責任である。この船が日本に入港してきたときの映像に驚いた。感染者を香港で下船させたことを「認識」しているにもかかわらず船内の往来は自由であるような、上甲板を普通に往来している船客の姿が映し出されているのを見て、こんなことが許されていいのか?驚愕した。その後の報道で、レストランが普通に開かれていてダンスパーティーが催されていたことも知って、これで大丈夫なのか強い疑問を感じた。案の定船内感染は想像以上の状態に達していた。もし感染者が発見されたときに、優秀なCDC(アメリカ疾病予防管理センター)に対応を問い合わせて適当な対策を講じておれば今回のような惨状は招かずに済んだ可能性が高かったに違いない。今のところわが国マスコミのこの会社に対する批判的な報道やコメントは見ていない。不思議である。
 かといってその後の日本の対応が極めて不首尾だったことへの批判が免れるわけではない。およそ考えられる範囲で最も不適切な対応をしたという非難は甘んじて受けねばなるまい。強制停泊を命じたにもかかわらず医学的対応は学術的に整合性を欠いた無様なものだった。船は世界から「ウィルス培養器」とまで誹謗され日本の国際的信用は地に堕ちた。
 
 ではどうすれば良かったのか。
 病院船を派遣して、乗客乗員を罹患者と健常者に分別してクルーズ船から避難させる。第一段階は簡易に手早く測定できる体温で判定して振り分けるしかできないだろう。それで37.5度以上の人と重症化するおそれのある高齢者(75才以上)を病院船の治療棟に収容し暫定的な治療とPCR検査を早急に行う。健常者に分別された人たちは血液検査で健康度をさらに判定して異常の認められない人はPCR検査用の検体を採取して順次自宅へ防疫機能を備えた自動車で送り届け、14日間の健康監視を経てPCR検査が陰性なら普通の生活に戻ってもらう。治療棟に収容された罹患可能性のある人と高齢者はPCR検査の結果に基づきその後の措置は専門臨床医療に沿った治療を受けて異常が認められないと判定された人から自宅帰還させる。
 もちろん以上は素人の手順だから実際は専門家の監修による分別、経過措置、治療の手順で行われるのだが訴えたいことは、「病院船」に避難させるという考え方である。もちろん現在わが国には病院船は存在しないらしいから今回の場合は病院船に充当できる可能性のある一般船舶をチャーターしてクルーズ船から緊急避難させて対応に当たる、という措置が取られるべきだったということを指摘したいのだ。
 
 なぜこのような指摘をするかについて述べてみたい。
 SARS(サーズ)の流行したのが2002年、MERS(マーズ)の流行は2012年で今回の新型コロナウイルスの流行へとつづいている。21世紀になって20年の間に3回も世界規模の新型の感染症が発生したということはこれが決して「異常」なことではなく、いつでも起こり得る「常態」として捉えるべきなのではないか。何故ならこれは「風土病」が原因と考えられるからだ。
 
 サーズは中国広東省、マーズはサウジアラビアやアラブ首長国連邦など中近東の数ヵ国が発生源国となっており今回は湖北省武漢市が発生源である。中国は2000年には1人当りGDPが1千ドルにも満たない貧困国であったのが今や1万ドルに達しようかという大発展を遂げた国であるが、広大な国土の内陸部にはほんの20~30年前まで交通が不便で地域外との交流の乏しい地域が少なからず存在していたと想像できる。内陸部では動物性たんぱく質を摂取するには一般的な食用獣が不足しているから我々が食肉に用いていない動物を食用にしていたらしいことが今回の武漢の例で分かった。しかしそうした「食用珍獣」には既知でないウイルスであったり細菌を感染させる可能性があるかも知れなくて、人体に新型の感染症を発症させていた可能性がある。ところが地域外との交流が稀であったから域内で終息しており、その繰り返しが何世代も――百年二百年の間繰り返されて抗体ができて、遺伝となってその地域では同じ感染症が発生しても感染しないか発症しても極めて軽微で済むようになっていた。これを今「風土病」と名づけるならば、世界の発展の遅れている国々には同じような風土病が相当あると考えてもあながち的外れではないだろう。
 とすれば、交通が発達し、経済のグローバル化によって国と国との交流が密になった現在においては、狭い地域に閉じ込められていた風土病の原因になっているウイルスや細菌が一挙に広い地域で感染を拡げることは十分に覚悟しておく必要がある。場合によっては今回の新型コロナウイルスのように世界大の流行になることも決して少なくないであろう。
 ということは我々は今、世界に偏在しているであろう「風土病」が「新型感染症」として世界的流行になることを『常態』として取り組む必要に迫られているのだ。
 
 他国と往来する船舶や航空機の乗下船時・搭下乗時には必ず「滅菌行程」を設定する、病院船をわが国なら複数船常備する、主要飛行場の近傍に感染症病院を2千~3千床用意する。この程度の対応を早急に――できれば2025年頃までには実現するべきではないか。
 実施には数千億円、ひょっとしたら一兆円以上要するかもしれない。しかし今回の例でも明らかなように一旦事が生じたらGDPを数パーセント低下させる可能性が高く、その経済的損失は数兆円規模になることは十分考えられるから決して多すぎる負担ではない。
 加えてこれは一種の「戦争」でもあるのだから軍事予算の幾らかを削ってでも――100機購入予定の戦闘機を50機に削減してでも、そうなれば1兆円程度の予算は簡単に捻出できるのだから決して不可能な計画ではない。
 
 新型コロナウイルスの流行をどう捉えるか。世界の人知を結集して世界規模の対策を講じる。地球規模の考え方の大転換を遂げなければ、今回の流行に要した一切の費用が無駄に帰する。
 
 
 
 
 
 
 

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