2020年10月6日火曜日

私の競馬原論

 競馬はブラッドスポーツ(血統のスポーツ)といわれます。ダーレアラビアン(エクリスプ系)、ゴドルフィンアラビアン(マッチェム系)、バイアリーターク(ヘロド系)という三大始祖から累々と重ねられてきた血脈の進化は三百年の年月を経てサラブレッドという走ることのみに特化した競走馬として完成しました。近代競馬はイギリスを発祥の地としてヨーロッパ、アメリカを中心に発達してきましたが近年東アジアの極東の地――日本で世界に比肩する競走馬が輩出するに至っています。五十年前スピードシンボリという馬が凱旋門賞への挑戦で開いた世界の門戸は凱旋門賞こそまだ勝利していませんが、今や世界中のGⅠレースに優勝する名馬が出現するレベルにまで到達しているのです。これは1970年に開設された栗東トレセンなどの施設の改善が大きく貢献しているのはいうまでもありませんが、ヒンドスタンやサンデーサイレンスなど海外有力種牡馬の輸入がもたらした「血統の改良」が最大の要因であることはサラブレッド進化の歴史から当然のことでしょう。    

 競馬はブラッドスポーツです。牡馬は種牡馬になることが最高の名誉ですし、牝馬は繁殖牝馬となって名馬を繁殖することが名牝の証なのです。名種牡馬、有力種牝馬となるための勲章がGⅠレースの優勝です。したがって競馬の体系はGⅠレースを頂点としたGⅡ、GⅢというヒエラルキーで構成されています。競走馬の能力はどのレベルのG(グレード)レースに優勝したかで判定するのが最も基本的な考え方です。そしてGⅠレースに勝つためにはどのレースをステップとするのが最適かということが歴史を通じて確立されたのです。競走馬の能力はGレースの実績で判断するのが正道です。    

 以上が私の「競馬原論」です。原論にしたがって競走馬の能力をどう導きだしていくか、それが「勝馬検討」でありその「勝馬検討」をどのように馬券に結びつけるのかが「馬券検討」になるわけです。      

 ではGレース(特にGⅠ)の「勝馬検討」はどのようにして行うのか。  GⅢの1着2着3着は「3:1:0.5」くらいの能力差と判定すると、GⅡは「10:5:2.5」くらいになるでしょう。しかしGⅠは「50:20:12」くらいの価値があると思います。GⅠの3着とGⅡの1着はどちらに価値があるかといえばやっぱりGⅠの3着の方を上位に置くのが正しいと思うのですが、「勝つこと」がサラブレッドの価値を決めるという考え方もあり、この判定は個人の価値観によって異なっていいと思います。GⅡを2勝していてGⅠでは2着1回しかない馬と、GⅠで2着を2回している馬(GⅡでは実績がない)とどちらを上位にランクするかは非常に難しいところですがやはりG12着2回の方が上位と取る方が良いだろうと考えています。  Gレースの価値は点数をつければ上のような差があると考えるのですが単純に点数化して能力判定はしません。競走馬の能力は複雑ですから数値化するのは困難で、むしろ漠然とGⅠ勝ちを〇、GⅡ勝ちを△、GⅢ勝ちを▽と表した方が実際に近くなるのではないかと思うのです。これを基本に2着3着を考慮しながら[◎、〇、△+、△、△-、▽]にランクづけするのですが、この作業はスポーツ新聞(私は報知新聞)の予想欄にGレース別の実績(資料1)が掲載されていますからそれを参考に行います。いちどに正確な能力判定をマークすることはできませんが、実践で試行錯誤を繰り返して自分なりの「相馬観」を養うのがまさに競馬の面白さではないでしょうか。  結論すればサラブレッドの競争能力はGレースの実績に凝縮されているという考えなのです。    

 その能力がレースで実際に発揮できるのかどうかが「勝馬検討」のもうひとつのポイントです。出走馬の競争実績を判定して実力と調子を見抜く、それをスポーツ新聞の過去8~10レースの馬柱(資料2)から判定するのがこのステップでの作業です。ここでもGレースの成績に注目します。Gレースに出走する馬も条件戦(3勝クラス、2勝クラスなど)や平場のオープンレースに出走することがありますが、それらの成績は一切カウントしません。平場のオープンは特別競走として番組に組まれていますが、休養明けの馬が実戦で調整する場合や実力低位のオープン馬の賞金稼ぎするレースであったりと、いろんな事情を抱えた馬がいろんな目論見で参加するレースが平場のオープン戦ですから結果に実力がそのまま反映されているとは言い難いので無視します。3勝クラス、平場のオープン戦と連勝してきた馬は調子がいい、実力が着いてきた程度の評価に留めます。GⅠからGⅢでの1着2着3着の成績のみで近走の能力と調子を判定します。3走前にGⅠで3着して休養に入り2走前にGⅢで2着、前走GⅡで3着、こんなステップを踏んできた馬は「〇」です。GⅠで5着、前々走GⅡで4着、前走GⅡで3着したステップなら「△+」。GⅠでは着外だったが3走前GⅡ3着、前々走GⅢで着外、前走GⅢで3着、こんな実績なら「△」。こんな風にGレースの実績のみを評価の基準として能力の変化と調子の上昇具合の判定を行います。何度も失敗を重ねて訓練しながら自分流を確立するのです。そんなに時間はかからないでしょう、3、4レースも実戦を経験すれば自分流が出来るはずです。  くれぐれもGⅠからGⅢのレースだけで判断することを忘れないでください。  重要なステップレースの選定は毎週月曜日スポーツ新聞(私はスポーツニッポン)に載る翌週のGレース・過去10年の実績表(資料3)のデータで見つけてください。    

 勝馬検討の2つの作業――「能力判定」と「近走実績と調子の判定」を行ったらその2つの判定結果の「〇」「△」を総合して[AA、A、AB、B+、B、B-、C、↑]にクラス分けして最終的な勝馬検討とします(このうち「↑」はデータではなくカンで選んでいますが何度か穴を的中しています。不思議なものです)。その評点を組み合わせて購入馬券を決定するのが「馬券検討」です。AとBの組み合わせにするか、AとB、Cの組み合わせにするかは、騎手、調教、血統、コース適正、展開などで判定します。最近の傾向は「騎手優勢」ですから騎手の評価は重要ですし、クラシックは血統を重視する考え方も有力で(私はスポーツニッポン水曜日にコラムを書いている亀谷さんの血統論を参考のすることがよくあります)血統の知識も馬券検討に有効です。  勝馬検討、馬券検討にはどんな資料を利用するかが大きなウェイト占めます。私は上記の資料を用いていますが自分なりの資料を探してください。    

 いちどに理解するのは難しいでしょうから最近の実践例として分かり易かった「神戸新聞杯」の検討結果を記しておきます。②コントレイル(◎、◎、AA)、⑱ヴェルトライゼンデ(〇、〇、A)、⑪ディープボンド(△+、△+、AB)の3頭が抜けていて特に②⑱は別格に判断しました。Bには⑥⑩⑮、Cは④⑤⑰となりましたが、単騎逃げの見込める⑩、騎手重視で④⑥を選んで⑤は外しました。馬券は1着固定の馬単を5点、1着固定の3連単を購入しましたが、⑤を外したので馬単だけ的中で少々の負けですみました。    

 いよいよ秋のGⅠシーズンです。最近の競馬ジャーナルはデータ分析や調教偏重ですが、GⅠはGレース実績の「能力」重視が馬券必勝法だと私は考えています。自分流の勝馬検討でレースを楽しんでください。3、4レースに1回中穴が当たれば競馬は愉しいものです。 -

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