2021年1月4日月曜日

新春競馬放談

  いい正月でした。こんな気持ちのいい新年は何年振り、いや何十年ぶりだったでしょうか。それもこれも暮れの有馬記念を獲ったからで、それも単勝(クロノジェネシス2.5倍)、複勝(サラキア7.7倍)、それに二頭の馬連(9―14 10,330円)の完全制覇なのですから堪りません。馬連の万券は予想外でした、せいぜい7、8千円だろうと思っていたので喜びも一入です。これで年間プラスも確定しました。それゆえ誠に目出度い新年となったのです。

 それにしても2020年は競馬界にとって不滅の年になりました。3才クラシックで牡牝の無敗三冠馬が誕生するというだけでも空前絶後なのにGⅠ9勝というこれまた空前絶後をアーモンドアイが達成したのですから今後百年、いや今後こんな年が訪れることは絶対にないだろう不可思議極まる一年になりました。

 さらに不思議なのは古馬混合(牡牝)のGⅠレース(芝)の勝利馬が全部牝馬だったことです。高松宮杯(モズスーパーフレア)大阪杯(ラッキーライラック)アーモンドアイ(天皇賞秋、JC)宝塚記念(クロノジェネシス)グランアレグリア(安田記念、マイルチャンピオンシップ)そして有馬記念がクロノジェネシスなのです(天皇賞春は牝馬不出走)。

 

 なぜこんな結果になったのか、まちがいなく言える原因のひとつは「高速化」でしょう。2018年のジャパンカップでアーモンドアイが記録した2400m(芝)2分20秒6の世界レコードはいうまでもなくJRAのレコード更新が相次ぐ昨今のわが国の競馬場は高速化の一途をたどっており今や「強く、速く、逞しく」ではなく「速く、速く」の時代に突入しています。「軽く、固く」足さばきの良い競馬場に改良されているのでしょう。そうなれば強く逞しい『馬匹改良』時代の遺物ともいえるセックスアローワンス(牝馬に与えられる牡馬との斤量差、2kgが多い)は必要なのかという疑問が湧いてきます。先の有馬記念のように荒れた馬場の場合なおさら2kgの斤量差はキイテきます。ゴール前のフィエールマンの脚色の衰えはそれを見せつけました。海外に目を転じても凱旋門賞の過去10年の優勝馬は牝馬が7勝(3才牝馬3勝、4才牝馬4勝)で牡馬を圧しているのはセックスアローワンスが影響しているからでしょう。この問題は今後大いに議論されるべきです。

 もうひとつ「放牧優先主義」も牝馬に有効に働いているかもしれません。栗東や美浦の本厩舎から車で30~50分のところにある放牧と調整のために設えられた「外」の厩舎を「外厩」と呼んでおり、冷涼で静かな山よりの環境にあるので馬がリラックスでき坂路などの調教施設も整っているので効率的に調教もできます。繊細な牝馬は好環境の外厩での短期放牧はトレセンよりリラックス効果が数段優れていて牡馬よりレース後の疲労回復と次走への調整に有利に働いていると考えられるのです。

 又藤田菜七子の活躍で今後女性騎手が増えそうですがそうなれば当りの柔らかい彼女らの騎乗は牝馬に好影響を与えることでしょうから、今後とも牝馬優勢は続くにちがいありません。

 

 昨年年間プラスが計上できた最大の原因はGⅠしか馬券を買わなかったからです。勝つ確率の低い競馬ですから買う回数が少なければ「損」も少なくて済みます。3年前からこの流儀に替えて損得勘定が一挙に改善しました。振り返ってみれば下級条件戦で儲けた記憶はほとんどなかったのです。データ派ですから情報の豊富な特別レース、それもG1レースこそ当たる確率の高いレースだったのですがそれにやっと気づいて買うレースをGⅠに限定したのが好結果につながりました。「見送る勇気」は競馬に絶対必要な資質です。根拠もなく、自信もないのに命から二番目に大事なお金を賭けるなど無謀以外のなにものでもありません。反対に根拠があれば安くても「獲れる馬券」は買うことです。クロノジェネシスの単勝250円は買わなければ250円の見過ごし損ですが獲れば250円プラスするのですから上下500円プラスになる、この当然のことが五十年間分からなかったのです。この積み重ねは大きいし、なにより「勝ちグセ」が勢いとなって次の馬券につながってきます。賭け事にこの「勢い」は重要なのです。

 競馬の基本は「単複」です、「勝馬」を発見しなくては馬券は当りませんから。単複主体に馬券を買っていると400円もつく単勝は絶好の「買い」馬券になります。勝馬が2頭に絞れれば馬連でも3連複(連単)でも馬券が絞れます。そして勝つ馬は確率的に人気上位の3~4頭、まちがっても5、6番人気で収まる可能性が90%以上あります、着もそれくらいの人気馬で決まりますからこの人気馬の「組合せ」をどう勝ち馬券に導くかが「馬券検討」になるのです。GⅠの場合G(グレード)レースでの実績、近走のGレースの着順(1~3着だけを評価基準にする)と近走の「上りタイム」が勝馬検討の主要素になるので、これらで判定された結果が人気につながってきます。このなかで勝馬が2頭まで絞れれば組合せは限定されて馬券の獲れる可能性は高くなります。ただし配当の高くないこともありますからそれを買う「冷静さ」が必要なのです。

 問題は10レースに1回くらい発生する低人気の勝馬、着に来る馬を見出す方法です。私の場合はGレースの実績の割に近走成績が悪く(或いはグレードの低いレースでしか好着順がなく)人気を落としている馬を穴馬に抜擢します。この前の有馬記念のサラキアは、GⅠ勝ちがなく唯一前走のエリザベス女王杯の2着がGⅠ実績だったので他のGⅠ優勝馬より下の11番人気と低評価だったのですが、3走前平場オープン、2走前GⅡと連勝、そして前走エリザベス杯2着と上り調子でかつエ杯は昨年の6着からの大幅成績アップしていたのですからこれは評価すべきで、かつ前走の上りタイムが33秒7と勝馬のラッキーライラックに優っていたので十分勝負になるはずなのです。案の定クロノのクビ差2着に追い込んで複勝770円という高配当を着けました。

 もうひとつ馬券好調につながっているのは「予想―結果―反省」を記録していることだと思います。何故その馬券を買ったか、何故勝ち馬(2、3着馬)を見逃したのか、の検討の積み重ねが「競馬力」を磨くことになるのではないでしょうか。

 

 有馬を獲った浮かれ気分で調子に乗って饒舌になってしまいました。新年は2月21日のフェブラリーSまでGⅠがありませんから馬券はお休みです。ただ今年の試みとして「騎手馬券」を買ってみようと思っています。候補騎手は北村友一、松山弘平、吉田隼人の三人です。人気如何にかかわらず目をつぶって単複を主体に買って彼らの成長を楽しみたいと思っています。暮れにどんな結果になっているか、楽しみです。

 皆様のご健闘を、そして儲けを少し奥様に分けて「妻が笑えば家庭円満」を祈っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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