2021年7月5日月曜日

CMをどこまで信用するか

  最近大発見をしました。

 ご多分に漏れず「かすみ眼」がひどくなってきて朝は普通に読書できるのですが(勿論老眼鏡は掛けますが)夕方――3時ころからかすみ具合がひどくなってスムースに読めなくなるのです。ソロソロ「ルテイン配合のかすみ眼薬」を服まないといけないのかなぁと思案していました。そんなとき妻が「これ使わはります」と自分の予備の眼鏡を貸してくれたのです。掛けてみるとこれがスゴクいい、ぼやけが消えて濁音・半濁音まではっきりと見分けられるのです。「ええわ、これ貸してくれる」「度数が進んだんとちがいます」。

 考えてみると老眼鏡を誂えたのはもう20年も前です。以来同じ眼鏡を使い続けてきたのですから合わなくなって当然の理屈です、六十才から八十才になるのですから。早速眼鏡屋さんへ行って検眼してもらうと「お客様の眼は特殊ですから眼科へいってキチンと測定してもらってください」と。かかりつけの眼科で測ってもらうとこれがまた一面倒、特殊な乱視が混ざっているので検眼が難しくほとんど一時間近くかかってしまいました。眼鏡ができてきて、はめてみて、「眼が開ける」ような感じがしました。これであと五年は快適に読書できることでしょう。

 

 コロナになってテレビを見る時間が多くなって、昼間のBSなどにあふれる「健康薬品」「健康補助食品」のCMの多さにあきれます。眼とひざ・腰、認知症が三大CMでそれ以外にも老人病とよばれる症状別のCMが次からつぎへと画面をおおいます。価格設定が極めて巧妙ですから――たいがいのものが数千円、それを初回は5割引き、7割引きになっていますから、いやいやなかには初回「無料、しかも送料無料」のもあって年金生活者でも容易に手の出せる値段になっていてついつい電話してしまう構図になっており「これから30分はオペレーターを増やしてお待ちしております」という案内が後押しするものですからなんのためらいもなく電話してしまうのです。(初回だけのつもりが気がつくと定期購入の契約になっているとか、送料が何千円もとられるとか、不正契約も多いようですから用心が欠かせません)。

 

 しかし落ち着いて考えてみれば、ブルーベリー由来の健康補助食品でかすみ眼がなおるのであれば眼科医へいって専門薬を処方してもらう方がより確実なのではないでしょうか。ひざや腰の関節痛がのみ薬で改善されるのなら整形外科はいらなくなります。やっと治療薬開発の緒について希望がほの見えてきた認知症が「いちょうの葉っぱ」でなおるものなのでしょうか?

 政府はここ二十年ほどの間に医薬品以外に数々のプロテインや疑似医薬品を承認してきました。健康補助食品も支援してさも薬効があるかのような「よそおい」を認可しています。一方で高齢者の医療費負担を優遇して後期高齢者の1割負担が社会保障費の重荷になって財政逼迫の一因になっています。

 高齢者の医療費は1割負担で月平均6千円足らず(医療費は約7万円)という恩恵を受けているのに健康食品等に5千円近い出費をしています。国内の健康食品市場は9千億円に届こうかという勢いで機能性表示食品だけでも2千億円を超える売り上げをほこっています。はっきりいって「効くかどうかもあやしい」ものに3千円も4千円も平気につかっておきながら医療費負担が500円増加しようものなら目に角立てて不平を言い募るという現状はどう考えてもおかしいのではないでしょうか。

 老人といえどももうすこし「科学的」な思考をする工夫が要るのではないでしょうか。

 

 早朝に散歩していて思うのですが、行き交う人(他人)がほとんどなく、たとえ出会っても無言で会釈するだけの時間帯にどうしてマスクする必要があるのでしょうか。コロナの前は30度を超える夏日になればしっかりエアコンをつけましょうと厚労省は薦めていましたがコロナになると「換気が重要」だから窓を開けてエアコンを活用するよう警告しています。しかし暑さを感じる程度は気温だけでなく湿度と風通しに影響を受けますから湿度が60%以下ならたとえ室温が30度でもたまらないほどの暑さは感じないものです。逆に28度でも湿度が70%なら我慢できない蒸し暑さになります。テレビの天気予報は東京中心だったりキー局の都合をいいますから、地元の気象情報とかけ離れた警報や警告を伝えます。自分の感覚で、湿度計などの工夫もして自分なりの生活管理をするような賢さが求められているのです。

 

 しかしこれはなにも年寄りだけの問題でなく最高権力者をはじめとして政策担当者にも必要な素養です。ワクチン接種者1日100万人、という大号令をかけた菅総理大臣ですかが100万人達成の僅か十日足らずで「ワクチン供給不足」を宣告しなければならないのですから一体この国の政策は「科学的エビデンス」というものをどの程度採用、信頼して策定されているのでしょうか。ワクチンは外国頼りで無尽蔵にいつでも供給できるものではありませんから、供給スケジュールがキチンとあるはずです。いくら総理大臣が号令しようともスケジュールをオーバーするようなことがあれば接種体制に破綻を来すであろうことは素人でも予想できます。地方の行政にまかせていたのでは100万人どころか7月末の高齢者接種完了もおぼつかないと見てとった総理が、政治のいうことなら無理でも聞いてくれる財界――大企業(そりゃ賃上げさえも政府の言いなりなのですから)と文科省の支配下にある大学に接種促進をお願いしたところ、予想外の参加があってあっという間にパンクしてしまう体たらくを表わしたのです。この状況を想定外とする総理の取り巻きは相当能力に疑問のつく人材だと言われても反論の余地はないでしょう。

 

 コロナ禍とオリンピックで明らかになったことは、わが国はいまでも根性論の「精神主義」の国だということです。

 

 

 

 

 

 

 

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