2023年7月10日月曜日

河野さん、あなたは正しいのです

  でも発想の転換をしなければならないのはあなた方の方です。

 

 河野さんはこう言いました。「マイナンバー(制度)とマイナンバーカード(以後マイナカード)というのはそもそも違うものです」と。そうなんです、マイナンバー(以後マイナ)というのは国民のひとり一人に付与された「個人番号」に過ぎないのです。これまで個人が身分を証明するためには健康保険証や運転免許証を使用するのが一般でしたがこれに代わる「身分証明証(番号)」がマイナなのですが、行政手続きなどのときにカードがあれば便利だろうということで「マイナカード」が発行されたのです。ところが身分証明という範囲を逸脱して「マイナカード」に健康保険証や運転免許証など、いくつもの機能を「紐づけ」しようとしたことで混乱が起こっているのです。そもそもは政府(行政)の業務効率化を図ろうという「役人根性」からでたことで国民の不安や不信をおきざりにした「お上意識」が混乱を招いているのです。

 健康保険証も運転免許証もこれまで通り別々の「専用証」にして発行し、その番号に「マイナ」を使えばいいのです。行政の統合作業に手間はかかるでしょうがそれが「お役所の仕事」なのですからご自慢の「明晰な頭脳」を使って下さい。

 

 では何故国民は今回の「マイナカード」への健康保険や運転免許など「機能」の「一元化・統合」に反対するのでしょうか。それは「インターネット・システム(デジタルシステム)」の「脆弱性」に対する「不安感」と「政府への不信感」のためです。

 

 そもそも「マイナ」は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(2013年/平成25年)」に基づいて国民のひとり一人に付与された「個人番号」のことで、社会保障、税、災害対策の事務手続きにおいて使用されることになっており行政の業務効率化と国民の利便性の向上を図ったものです。行政とわれわれ国民の関りは多方面に及んでおりそれらの手続きは煩雑を極めているのが現状です。手続き書類には「番号」を記入することがほとんどですが、手続きごとに違った番号を使用することは不便であり「不合理」でもあります。それを一つに統合するメリットは非常に大きく行政業務の効率と利便性向上のメリットは計り知れないものがあると思います。

 「個人番号」が付与されることにそんなに抵抗はありませんでした。確定申告の際にマイナを使用しなければならなくなった最初は少々途惑いもありましたが何回か繰り返すうちにそれが普通になりました。申告に行く度に番号を控える手間を考えれば「カード」があれば便利なことはいうまでもありません。

 そこで留めておけばよかったのです。

 

 国民の「インターネット・システム(デジタルシステム)」に対するアレルギーは相当なものです。

 まず銀行のシステム障害は「みずほ」をはじめ各行で繰り返しあり不便を蒙りましたし、自分の預金の喪失危機を感じることさえありました。スマホや携帯の通信障害も決して少なくありません。銀行のシステムは最高の技術を持った企業が担当しているとわれわれは思い込んでいますしスマホはそれこそデジタルの専門会社ですから絶対の信頼をもっているのですがそれでさえトラブルが絶えないのですからインターネットに対して抱いている「不安」はかなり深刻です。

 ハッカーの攻撃も心配です。最近も「名古屋港湾システム」がランサムウェアに乗っ取られて1週間ほど作業不全になったばかりです。日本一の貨物取扱量ですから私たちの知らないところで深刻な影響があったにちがいありません。また昨年10月には大阪急性期・総合医療センターが同じランサムウェアに攻撃されて電子カルテ・システムが使用できなくなり休診になったり手術の延期など、初動から完全復旧まで2ヶ月かかった事件も記憶に残っています。さらに2016年のアメリカ大統領選挙ではロシアのサイバー攻撃で優勢を伝えられていた民主党のクリントン候補が共和党のトランプに敗れるというショッキングな事件もありました。

 最近特に懸念されているのは北朝鮮やロシアによるわが国インフラへの電磁波(EMP)攻撃です。中国の気球事件も電磁波攻撃との関連がまことしやかに噂されています。もし攻撃が現実化したらわが国のデジタルシステムは一瞬のうちに機能不全に陥って国民生活に甚大な悪影響を及ぼすでしょう。これと同じことは頻発する自然大災害(地震、台風、集中豪雨など)でもすでに起こっていますし温暖化が進行すれば自然災害の頻度と大規模化は防ぎようもありません。

 

 政府は国民の心配する諸種の「デジタル障害」への供えは万全なのでしょうか。

 ほとんど防ぎようのない、予想される不安の今、何故、「機能の一元化・統合」を行なおうとするのでしょうか。逆に「危険の分散」こそが今の時代に求められているはずです。皮肉なことに健康保険証はデジタル障害とは無縁な「紙の保険証」の方が災害や障害には強いのです。運転免許証も今まで通り「単体」でいいのです。

 

 わが国政府の国民の信頼性は先進国中最低ランクです。幾つかの調査で25%から30%台前半という数字は致命的です。これだけ国民の信頼度が低下しているという事実を政府は真摯に受け止めて、今の独断専行、前のめりの「行政の暴走」にブレーキをかけるべきです。

 

 今回の騒動でもっとも危惧しているのは「マイナカード・システム」を受注しているのがわが国トップ5のデジタル企業のコンソーシアムであることです。もしこれらの企業の実力がこの程度であるとしたらわが国の将来は暗澹たるものです。(行政がシステム構築と運用を相当邪魔していると心配しているのですが。)

 

 河野さん、あなたは正しいのです。

  

 

 

 

 

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