2020年8月31日月曜日

残暑お見舞い申し上げます

 朝顔がト音記号に伸びる窓(大山崎町 藤原 嘉良
 
 残暑お見舞い申し上げます。
 コロナ禍のもとお変わりなくお過ごしですか。
 
 などと決まり文句を書いてしまいましたがわれわれ年寄りは概(おおむ)ね「お変わりなく」お過ごしなのではないでしょうか。わたしについていえば月二三回の遠出ができなくなった以外はほとんどコロナ前と変化ありません。遠出といっても敬老パスを乗り継いで京都市内を四五時間ウロウロするだけのことで、歩くこととちょっと贅沢して外食するくらいが関の山の日常の延長にすぎないものですが、それでもやっぱり足の衰えは否めなくて先日墓参りの帰り、駅からの二十分足らずの歩きが辛くなっていました。毎朝二十分ほどのインターバル速歩とラジオ体操、十個のストレッチだけではカバーできない長距離を歩く筋肉が衰えているのに違いありません。今年は友人との飲み会も控えていますからその点は少しストレスになっています。 
 
 外出自粛で小遣いに余裕ができたこともあって花を買うようになりました。花といえば仏花くらいしか縁がなかったのですが、いつか花屋へ行ったら「安くなってますよ」とすすめられて何の気なしに一輪ざしのつもりで二本求めたらこれが五百円足らずという予想外の値段に驚かされて、以後それが枯れるたびにつぎ足すようになりました。この花屋さんとはもう十年近い付き合いで、夏仏花が四日ももたないので何かいい方法はないかと相談したのがきっかけで以来気安く話すようになったのですが、結局水替えを日に二度することと「キープフラワー」という水の腐るのを防ぐ薬剤を使用することで十日近く花もちをよくすることができるようになりました。妻が生け花に少々心得があったことも手伝って、二本が三本になりして段々に妻のお手並が発揮されてそちらも自粛生活の楽しみになっています。
 
 以前なら仏花が四日で枯れようがそんなことを気に懸けるタイプではなかったのですが、西陣から桂に引っ越して、老朽した一軒家からマンション住まいになって(同時に年金暮らしになったこともあって)「もったいない」という気づかいをするようになりました。その表れのひとつが仏花だったのですが、夏の暑さ対策も随分工夫しています。桂に引っ越して驚いたことは、桂川スグ横の東西に向いたI型マンションということもあったのでしょうがとにかく涼しいのです。初年度はクーラーをつけたのは十日ほどしかなかったと覚えています。好都合だったのは東西のベランダか掃き出しタイプの戸だったので空き放てば風通しがめっぽう良かったのです。最近は年を取ったこともあって毎日クーラーが必要ですが、それでも妻が夕飯の支度に火を使う夕方から寝る前までの半日だけです。そのかわり、午前と午後にベランダの壁に水をブッカケます、いっぺんにヒンヤリします。それに湿度を注意しています、室内が三十度近くなっても湿度が55%以下なら扇風機の風だけでしのげます。反対に梅雨時、室温が28度でも湿度が60%を超えると冷房除湿をしないと堪りません。西側のカーテンを厚手の遮光布に替えましたが効果はてきめんで、半ズボン、上半身裸になって濡れタオルで汗をぬぐっておれば扇風機の風だけで十分です。
 テレビなどで熱中症を注意して空調を一日中切らずに使用することを薦めていますがどうなのでしょうか。以前テニスをしていた頃夏の初めに汗を思いっきりかくと「毛穴が開いて」それからは随分としのぎやすくなったのを覚えています。汗による体温調節機能が再起動したのでしょう。それににしても「湿度」を考慮した暑さ対策の助言がまったくないのが不思議でなりません。年を取れば取るほど湿度に対する耐性が劣化してきます。汗は気温より湿度に影響されているように感じますから水分補給も気温ばかりでなく湿度にも注意して行なうようにしています。
 
 さて毎日の生活ですがコロナ自粛に関係なく読書三昧の毎日です。若いころ晴耕雨読と高等遊民に憧れました。要は暮らしを心配することなく読書を楽しみたいと思っていたのです。受験のためとか仕事関連の読書でなく、古の中国の仙人が琴棋書画に親しんだような生活で晩年を過ごしたい、そう願っていました。そんな憧れが今実現可能になりました。生活に困らないだけの年金をいただいて暇は余るほどあるうえに、図書館は充実しているし買いたい本はたいてい手に入る。現役時代画廊巡りをして購っておいた絵画も少しはある、年季ものだがミニコンポと好きなクラシックとジャズのCDも備わっている。妻の手料理も旨い。なんの不足があろうか。
 なぜ私(たち)は今かくあるのか、それを知りたくて本を読む。司馬遼太郎に止まらず網野義彦、宮本常一、宮崎市定、安丸良夫、渡辺京二と読んできてようやく歴史が少し分かってきました。そして「教科書歴史」によっていかに上っ面の、それも偏った歴史を教えられてきたかを知りました。これからは柳田国男も読んでみたい、まず手に取った『先祖の話』が面白かったから楽しみです。最近の小説では安倍龍太郎の『迷宮の月』が中国・朝鮮と日本の関係を遣唐使を題材に描いていておもしろかった。
 読書に疲れれてヘッドホンでCDを大音量で聞く。一日の〆は酒。
 そしてまた明日がある。
 
 あなたはどんな夏の日をお暮しですか。愛妻はお元気ですか。
 大文字、来年は点ってほしいですね。
 まだまだ暑さが続きます。ご自愛ください。
 
 夏の朝なくのがへたなせみがいる(小2 北山紬心
 
 
 

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